よくあるケースでイチからわかる!開業医のための歯科訪問診療算定ガイド
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7本書の見方● 「第1章 歯科訪問診療の敷居を下げる そこが知りたいQ&A ~押さえておきたい基礎知識と準備事項~」では、自院での外来診療が中心の一般開業の歯科医師が、医院の体制や経済的な負担などの不安から、気持ちはあってもなかなか歯科訪問診療に踏み出せないでいる思いや、さまざまな疑問点など10の設問を取り上げ、それらに答える形で、やさしく解説している。● 「第2章 来院困難となった患者の自宅に訪問して引き続き診療をしたい」では、自宅に訪問して行う義歯や抜歯等の治療の事例を、「第3章 施設や病院に入所・入院することになった患者の訪問診療を行いたい」では、施設や病院に訪問して処置や指導等を行う事例を、「第4章 専門的な対応が必要な患者に訪問診療を行うことになったら」では、摂食嚥下リハやがん手術患者の口腔管理等で、病院等との連携により対応する事例を紹介している。各事例は一般歯科診療所の歯科医師や歯科衛生士が歯科訪問診療を行うケース(事例2を除く)となっており、歯科医師1人でも対応できる症例や比較的遭遇しがちな症例を中心に取り上げている。各事例の誌面構成は下記のとおり。● 巻末では「一般開業歯科医向けの歯科訪問診療に関連した主な算定項目」の解説と、あわせて「かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所」「在宅療養支援歯科診療所」に関連した情報を掲載している。82事例17-3病院に入院した場合の歯科訪問診療料(介護保険施設に訪問→病院入院後も訪問希望)◎患者プロファイル年齢・性別:90歳・男性  主訴:入院先で歯ぐきが腫れたので診てほしい。背景:入所先の特別養護老人ホームで上顎総義歯セット後、数日してから転倒して右大腿部を骨折し、入院。入院先で右下歯肉が腫れたので、診てほしいとのことで、入院先に訪問。口腔内状況:77MT  全身的既往:認知症、糖尿病  服薬状況:アマリール錠 ほか要介護度:要介護3治療等:右大腿部骨折のため、基本的にはベッド上での診療となる。特記事項等:入院後は洗面所まで自力で行くことができない。ベッド上で過ごすことが多いので、寝たままでの口腔ケアについて注意が必要。月 日部 位療 法 ・ 処 置点 数負担金徴収額5/1歯科訪問診療1 10:00~11:001,100湯島の郷(特養) 1人のみ 訪問理由:認知症により通院困難₇ー₇FD set2,412人工歯 硬質レジン歯58+76義管(指導内容・提供文書略) 230歯在管+文 1 (31頁23も参照)200+10加齢による唾液分泌低下で口腔内が乾燥状態。内面を水で濡らしてから義歯を装着するよう指導。管理計画書提供(略)5/7歯科訪問診療1 10:00~10:15 (20分未満)770クイント病院(歯科なし) 訪問理由:入院中のため通院不可主訴:右下の歯ぐきが腫れて痛い家族から下記連絡あり5/4に転倒し、右大腿部を骨折。同日にクイント病院に入院。5/6頃から右下の歯ぐきが腫れて痛いので診てほしいとの依頼あり₅近心ポケットが深く、臨床所見よりP急発と診断₅P処 ぺリオフィール歯科用軟膏2%1シリンジ(0.5g)注入14+415/9訪衛指1 (1人のみ) 10:30~10:53(35頁12参照)360歯科衛生士単独訪問 2 ₅の腫れが引いてきた歯垢が付着する₅部を確認してもらい、清掃法を本人と家族に説明し指導するよう指示 (提供文書略)R2年5月 実日数 3日 計5,271点₇ー₇ MT ₅ P急発p068-083_guide-3sho.indd 822020/09/24 13:5283第3章 施設や病院に入所・入院することになった患者の訪問診療を行いたい特養の入所者が病院入院後に歯科医師が行った療養上の管理・指導は「歯在管」を算定する1 特別養護老人ホーム(特養)の入所者が病院に入院し、その患者に対して歯科医師が療養上の管理・指導を行った場合は医療保険の「歯科疾患在宅療養管理料(歯在管)」を算定する。特養で歯科訪問診療を行った際に「歯在管」を算定し、その同月に入院して療養上の管理を行っても、「歯在管」は月1回限りなので再算定はできない。歯科衛生士による単独訪問でも「訪衛指」が算定できる2 歯科衛生士が入院先に単独で訪問し、療養上必要な指導を行った場合も「訪問歯科衛生指導料(訪衛指)」は所定点数を算定できる(本事例では1人のみなので360点)。 なお、「訪衛指」を算定した医療機関は、毎年7月1日現在の、医療機関名、開設者名、常勤・非常勤ごとの歯科衛生士数を地方厚生(支)局長に報告する必要がある。管轄の地方厚生(支)局から報告書が送られてくるので、必要事項を記入して郵送で提出する。(別紙様式5)(令和2年7月1日現在)診療実績上顎有・無円下顎有・無円上顎有・無円下顎有・無円上顎有・無円下顎有・無円上顎有・無円下顎有・無円その他の金属上顎有・無円()下顎有・無円診療実績有・無円有・無円診療実績有・無円有・無円診療実績 ※ 歯科衛生実地指導料又は訪問歯科衛生指導料のいずれかを算定した実績がある場合は、令和2年7月1日時点の   常勤・非常勤それぞれの歯科衛生士数を記載すること。 ※ 実績がない場合は診療実績欄の「無」を○で囲み、歯科衛生士数は記載しないこと。 ※ 令和2年7月1日時点で歯科衛生士数が0人であっても、前年7月1日から当年6月30日までの間に診療実績がある 場合は、診療実績欄の「有」を〇で囲み、歯科衛生士数を0人と記載すること。1.金属床総義歯の実施状況2.う蝕に罹患している患者の指導管理の実施状況3.前歯部の金属歯冠修復に使用する金合金又は白金加金の支給の  実施状況【 ① 選定療養の実施状況 】歯科衛生士数(実数)【 ② 歯科衛生実地指導料又は訪問歯科衛生指導料の算定状況 】診療実績が「有」の場合:診療実績が「有」の場合:金合金(1歯につき)白金加金(1歯につき)チタン合金白金加金 ※ その他の金属欄は商品名ではなく、一般名を記載すること。金合金コバルトクロム合金金属の種類毎の1床当たりの価格診療実績が「有」の場合:診療実績が「有」の場合:金額(消費税を含む)診療実績が「有」の場合:医療機関コード※レセプトに記載する7桁の数字を記載すること。保険医療機関の名称フッ化物局所応用(1口腔1回につき)継続管理の種類選定療養及び歯科衛生実地指導等の実施状況報告書(歯科)〔記載上の注意事項〕1 前年7月1日から当年6月30日までの間の診療実績に基づき、記載すること。2 期間内に①及び②の全項目について診療実績がない場合は、本報告書の提出は必要ないこと。3 期間内にいずれかの項目の診療実績がある場合は、診療実績欄の「有」を○で囲み、当該保険医療機関において  実施した項目の金額又は人数のみ記載すること。①について各項目の価格を事前に報告している場合においても、診療実績がない項目には診療実績欄の「無」を○で囲み、金額は記載しないこと。4 各項目の価格に事前の報告と相違がある場合は、速やかに変更の報告をすること。診療実績が「有」の場合:診療実績が「有」の場合:診療実績が「有」の場合:診療実績が「有」の場合: 都道府県名金額(消費税を含む)診療実績が「有」の場合:診療実績が「有」の場合:診療実績が「有」の場合:金額(消費税を含む)診療実績が「有」の場合:診療実績が「有」の場合: ※ 前歯部の金属歯冠修復に使用する金合金又は白金加金とは、金属歯冠修復であって、その金属としては金合金又は白金加金を   用いたものであること。なお、硬質レジン前装冠に用いる金合金又は白金加金は対象としないこと。小窩裂溝填塞(1歯につき) ※ 選定療養として地方厚生局(支)局長に報告し実施したものであること。非常勤有・無常勤診療実績が「有」の場合:診療実績が「有」の場合:人人歯科衛生実地指導料又は訪問歯科衛生指導料(別紙様式5)(令和2年7月1日現在)診療実績上顎有・無円下顎有・無円上顎有・無円下顎有・無円上顎有・無円下顎有・無円上顎有・無円下顎有・無円その他の金属上顎有・無円()下顎有・無円診療実績有・無円有・無円診療実績有・無円有・無円診療実績 ※ 歯科衛生実地指導料又は訪問歯科衛生指導料のいずれかを算定した実績がある場合は、令和2年7月1日時点の   常勤・非常勤それぞれの歯科衛生士数を記載すること。 ※ 実績がない場合は診療実績欄の「無」を○で囲み、歯科衛生士数は記載しないこと。 ※ 令和2年7月1日時点で歯科衛生士数が0人であっても、前年7月1日から当年6月30日までの間に診療実績がある 場合は、診療実績欄の「有」を〇で囲み、歯科衛生士数を0人と記載すること。1.金属床総義歯の実施状況2.う蝕に罹患している患者の指導管理の実施状況3.前歯部の金属歯冠修復に使用する金合金又は白金加金の支給の  実施状況【 ① 選定療養の実施状況 】歯科衛生士数(実数)【 ② 歯科衛生実地指導料又は訪問歯科衛生指導料の算定状況 】診療実績が「有」の場合:診療実績が「有」の場合:金合金(1歯につき)白金加金(1歯につき)チタン合金白金加金 ※ その他の金属欄は商品名ではなく、一般名を記載すること。金合金コバルトクロム合金金属の種類毎の1床当たりの価格診療実績が「有」の場合:診療実績が「有」の場合:金額(消費税を含む)診療実績が「有」の場合:医療機関コード※レセプトに記載する7桁の数字を記載すること。保険医療機関の名称フッ化物局所応用(1口腔1回につき)継続管理の種類選定療養及び歯科衛生実地指導等の実施状況報告書(歯科)〔記載上の注意事項〕1 前年7月1日から当年6月30日までの間の診療実績に基づき、記載すること。2 期間内に①及び②の全項目について診療実績がない場合は、本報告書の提出は必要ないこと。3 期間内にいずれかの項目の診療実績がある場合は、診療実績欄の「有」を○で囲み、当該保険医療機関において  実施した項目の金額又は人数のみ記載すること。①について各項目の価格を事前に報告している場合においても、診療実績がない項目には診療実績欄の「無」を○で囲み、金額は記載しないこと。4 各項目の価格に事前の報告と相違がある場合は、速やかに変更の報告をすること。診療実績が「有」の場合:診療実績が「有」の場合:診療実績が「有」の場合:診療実績が「有」の場合: 都道府県名金額(消費税を含む)診療実績が「有」の場合:診療実績が「有」の場合:診療実績が「有」の場合:金額(消費税を含む)診療実績が「有」の場合:診療実績が「有」の場合: ※ 前歯部の金属歯冠修復に使用する金合金又は白金加金とは、金属歯冠修復であって、その金属としては金合金又は白金加金を   用いたものであること。なお、硬質レジン前装冠に用いる金合金又は白金加金は対象としないこと。小窩裂溝填塞(1歯につき) ※ 選定療養として地方厚生局(支)局長に報告し実施したものであること。非常勤有・無常勤診療実績が「有」の場合:診療実績が「有」の場合:人人歯科衛生実地指導料又は訪問歯科衛生指導料東京都2○○○○○○○クイント歯科医院知っておこう特別養護老人ホームの入所条件 平成27年4月の介護保険法改正により、要介護3以上の人の入所が優先されることになった。認知症の有無や家庭環境により別途配慮されるケースもあるが、基本的には要介護2以下の人の入所は難しい。p068-083_guide-3sho.indd 832020/09/24 13:52タイトルは「よくある患者の訴え」や「医療者側からみた患者の状況や対応」などでわかりやすく構成。(  )内は補足として訪問時の状況、治療内容や該当する算定項目、介護保険利用の有無などを記載患者の年齢・性別、全身や口腔内の状況、服薬状況、要介護度、治療に至るまでの背景などを「患者プロファイル」として紹介カルテ内の☞■の番号に対応する解説欄カルテ内の☞■は、カルテ下や右頁の■番号に対応した箇所で、その算定項目の解説や関連事項を詳述事例への対応や算定項目等はカルテの書式に即した形で「月日」「部位」「療法・処置」「点数」欄に掲載算定や届出時に必要な各種文書等の書式と 記載例を提示「知っておこう」「アドバイス」の各コラムは、歯科訪問診療を行ううえで必要な知識や臨床に役立つ情報などを提供別頁に解説を掲載しているものは参照頁を表記

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