歯の外傷で小児が来院したら
2/7

9CHAPTER 1小児の歯の外傷への応急対応FIG 2a, b 最小限の初期対応.①止血し,吸い込みそうな異物を除去するか,吸い込みを阻止する.・記録をとる.・脱落歯は,再植するか,「保存液」中へ入れる(CHAPTER 6 FIG 7, 8).②感染予防,PMTC,含嗽剤,抗生剤投与,十分な説明・ホームケア指導(うがい薬とほぐし綿棒 b)③ガイドラインを見て治療を行う.揺れる歯   ⇒整復・固定露髄     ⇒直接覆髄歯冠破折・亀裂⇒被覆(接着性レジンまたはセメント)④継続管理で合併症の早期発見(予約診療)FIG 3 長めのガーゼをくわえさせる.受傷していない側で噛ませれば痛みがなく,血液を飲ませることを防ぎ,脱臼した歯を誤飲・誤嚥するのも防げる.歯の外傷で優先すべき対応――最少限の初期対応(FIG 2)▲問診・診査・診断を速やかに行うが,記録はとくに意識してとる.写真撮影は時々刻々変化する受傷状況を記録するための重要な記録方法であるが,患者側に意義を説明して,許可をとって撮影する.①吸い込みそうな,または,飲み込みそうな物体を口腔外に出す▲処置としての緊急度がもっとも高いのは,吸い込みそうな物体を誤飲・誤嚥させないことである.ぶらついた歯や異物,血液などが口の中にないか,保護者とともに観察する.とくに歯が半脱落状態である場合,取り除くのか,整復・固定するのかは,幼児では本人の協力状態と診療体制により選択を迫られる.脱落しそうな歯は,飲み込ませないような工夫を真っ先に考える.▲可能なら,痛みのない部分で長めのガーゼをくわえさせる(FIG 3).②止血▲止血は,外傷治療の基本だが,興奮している子どもの傷を直接抑えると,痛みのために興奮を助長することもあるので,注意が必要である.▲唾液に血液が混じるため,出血が多いと誤解されやすい.赤い唾液は,飲ませないで吐き出させるが,本人には見えないよう工夫したほうがよい.血液を見ただけで動転する児はまれではない.①記録をとる②緊急性が高い処置ab

元のページ  ../index.html#2

このブックを見る