歯の外傷で小児が来院したら
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13CHAPTER 2口腔外傷の損傷,治癒,その特徴FIG 2a~c 歯髄がはがれた症例.患者は,走ってコンクリートブロックと衝突した6歳11か月の男児.整復時に歯槽窩に歯髄が脱離し,整復困難にて治療依頼された.FIG 2a1~3 ₁の重度の舌側傾斜症例に対し,整復・固定を試みたところ,歯が脱落し,歯髄が歯槽内に残ったとのことにて,紹介を受けた.歯槽内から取り出された歯髄は,歯冠天蓋部と根尖部に出血が見られた(a2).FIG 2b 空洞状態になった歯髄腔を根尖から逆根管形成のうえ,逆根管充填を行って再植して,固定を行った.FIG 2c1,2 経過は良好で3年後も根吸収や低位下がなく,正常な咬合が得られた.▲象牙質は,外力で破折や亀裂を生じるだけでなく,歯の脱臼が起きるのと同時に象牙質がたわみ,歯髄天蓋部で象①歯髄▲歯髄には,衝撃力・回転加速度による挫滅や剪断力などがはたらき,内出血をはじめとする循環障害,ならびに,びまん性損傷が起きると推察されている(FIG 2).▲ひき続き,幼若な歯髄の石灰変性,修復象牙質の過形成,②象牙質と歯髄の損傷と組織反応a1c1a2ba3c2牙質との境界で歯髄の「剥れ」が起きることがある2.臨床的にも,歯髄の根管からの剥がれが観察されている(FIG 2).骨による置換などを生じ,エックス線所見としては「歯髄腔狭窄」が起きる(FIG 3).狭窄が起きた歯には内部吸収が併発することがあるほか,全部性歯髄腔狭窄(狭窄が強度に進んでほとんど歯髄腔が見えない程度)になった場合は,歯髄壊死は20%に併発するといわれる.1か月後3年後

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