歯列不正・不正咬合の患者が来院したら
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Part02 補綴・矯正・ときに外科を手法として用いる咬合再構成治療117Patient (First visit):女性,40歳(初診時).Chief complaints:虫歯がある,歯が動く,口を開けると顎が痛い.Oral ndings:   は反対咬合.閉口時に₁₁と₁₁の切端が早期接触し,下顎が₁₁の唇面に誘導されながら咬頭嵌合位に入っていく.₂₁₁の動揺度が大きく,₂の口蓋側の歯頸部歯肉が発赤.口腔清掃状態はやや不良.初診から約1か月後に₂はクラウンがメタルコアと一緒に脱離した.それに伴い垂直性歯根破折が判明.また₇はメタルコアによる穿孔が確認された. 初診時エックス線画像からは上記の₂のメタルコアの脱離が疑われ,₇に根尖の病変が認められた(Fig1a-g~Fig4a,b).Diagnosis and Treatment :前歯部の被蓋の改善が必要と判断したが,骨格的な問題が大きく外科矯正治療の適応であり,患者も以前から気にしていたため,先に矯正治療を行い(Fig5a-f~Fig10a-e),その後にう蝕や既存の補綴物の不備に対応することとした(Fig11a-d).また患者からは全顎的な治療にあたってはメタルクラウンを用いないでほしいと要望されていたが,咬合の変化への対応および補綴物破損の予防として最後臼歯のみはメタルとし,その他の補綴物はセラミックを使用することで同意を得た(Fig12a-g).Case Presentation 13前歯部の被蓋の改善を目的とした咬合再構成症例abcdefgFig1a-g 初診時の口腔内の状態.₂₁₁の動揺度が大きく,₂の口蓋側の歯頸部歯肉が発赤.口腔清掃状態はやや不良である.補綴処置されている歯が多い(2007年10月).初診時1121134

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