OJのスペシャリストたちがおくる インプラント 基本の「き」
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151章 インプラントの基礎知識2インプラントを構成する3要素 では、インプラントはどのような構造になっているのでしょうか。 1981年、Albrektssonはインプラントを成功に導くための基本的なキーポイントとして、①生体親和性、②インプラント体のデザイン、③表面性状、④顎骨の状態、⑤外科手技、⑥咬合負荷の6つの条件を挙げました(表1-a)。 また、2005年、Froumは米国歯周病学会で行った「デザインから考えるインプラントの選択」と題した講演で、全米のトップクラスの臨床家を対象としたアンケート結果を公表しました。彼らが理想とするインプラント体の条件として挙がったのは、①テーパードデザイン、②セルフタッピング、③インターナルコネクション、④フルラフサーフェス/カラーのみ機械研磨、⑤生物活性型表面処理でした(表1-b)。 Albrektsssonの6つの条件のうち、インプラント体そのものにかかわる①②③とFroumの5つの条件を整理すると、インプラントを構成する要素は、(1)インプラント体の表面性状、(2)インプラント体の外形、(3)上部構造との連結システムの3つであると言えます(図1)。 (1)インプラント体の表面性状 Brånemarkが考案したインプラントの材質は純チタンで、その表面は機械研磨されていました(図2-a)。インプラントの表面性状(Albrektsson③)とチタンそのものがもつ生体親和性(Albrektsson①)は、オッセオインテグレーションを成立させるというインプラント治療の根幹をなす重要な要素であり、インプラントの心臓部とも言えます。 その後、表面構造の研究が進み、研磨されたスムーズな表面よりも粗面(ラフサーフェス)のほうがオッセオインテグレーションを促進することがわかり、酸処理やブラスト処理による加工が施された粗面構造を有する表面性状(Froum④)が主流となっています(図2-b)。 さらに現在では、インプラント体の表面にさまざまな工夫を加えることで、オッセオインテグレーションをより早く、より確実に成立させる試みがなされ、すでに多くのインプラントメーカーで商品化されてきています(Froum⑤)(図2-c)。図1 インプラントを構成する3つの要素インプラント体の外形:全体構造上部構造との連結システムインプラント体の表面性状:微小構造初期固定に関与し、外科手技に関係する要素咬合負荷に関与し、補綴手技に関係する要素二次固定に関与し、オッセオインテグレーションの成功率に関係する要素

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