口腔粘膜疾患識別ガイド
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白色病変●上皮の細胞に異常が生じると、角化細胞層や有棘細胞層が厚くなり、本来、14日間で剥がれ 落ちる細胞が残ってしまいます。それにより、粘膜下組織の血管(ピンク色)が透けて見えず、粘 膜面に当たった可視光線が乱反射し、白色病変として観察されます。●おもな疾患として、口腔カンジダ症や口腔扁平苔癬、白板症などがあります。口こう腔くうカンジダ症しょう頬粘膜、口蓋、舌好発部位灰白色や乳白色の点状、線状、斑紋状(まだら)の白苔がみられる所見口こう腔くう扁へん平ぺい苔たい癬せん頬粘膜から歯肉頬移行部好発部位網状の白斑と発赤がみられ、局所的に炎症性変化と角化の亢進を認める所見発症しやすい対象高齢者や要介護者、がん患者、乳幼児、妊婦など原因免疫力低下により口腔内に常在する真菌「カンジダ菌」が病原体となる自覚症状粘膜のザラザラ感、味覚異常、痛みなど注意すべきこと長く続く場合、カンジダ性口角炎治療法口腔内清掃、真菌培養検査後、抗真菌薬(ミコナゾールなど)の使用発症しやすい対象後期高齢者、口腔内清掃不良者、金属アレルギー患者など原因原因は不明だが、歯科用金属アレルギーや遺伝的素因、ストレスなどの関与が考えられている自覚症状食べ物がしみたり、触れると痛むなどの接触痛や、口腔の荒れ、味覚異常など注意すべきこと口腔がん、HCV(C型肝炎ウイルス)陽性治療法●歯科用金属アレルギーを疑う場合は補綴装置の除去●口腔内の清潔を保持・経過観察し、必要であれば副腎皮質ステロイド軟膏の塗布日和見感染で、老化など免疫低下が認められる状態で発症しやすいのが特徴です。ガーゼなどで簡単に拭い取ることができますが、除去後、粘膜に発赤、びらんが現れることがあります。とくに女性に多くみられます。また、罹患者の8~24%がHCV(C型肝炎ウイルス)陽性との報告もあります。白色病変が主要な部分を占める「白斑型」と紅色病変が主要な部分を占める「紅斑型」の2つに分類されます。前がん状態白白白斑型紅斑型知識編 口腔粘膜疾患を4色で知る11

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