最新 骨補填材料&メンブレンYEARBOOK 2021/2022
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Clinic ReportClinic Report既存骨量が少ない症例に対してPLATONパールボーン等の人工骨のみを使用した2症例水口稔之 Mizuguchi, Toshiyuki水口インプラントセンター新宿 理事長 歯学博士1988年 日本大学松戸歯学部卒業(一社)日本インプラント臨床研究会 会員, (公社)日本口腔インプラント学会 専門医, (一社)国際インプラント学会 認定医, アジア口腔インプラント学会 認定医,日本歯科放射線学会 優良医, DentalXP エキスパートプレゼンター, ソクラテスの会 会長Clinic Report 59PLATONパールボーン 筆者が所属する「日本インプラント臨床研究会」で製作した「インプラントのための重要12キーワード・ベスト240論文」2)では,インプラント治療のキーワードに対して世界的に引用頻度が高い上位20論文を抽出している.それによると骨増生において10位,GBRにおいて3位の論文として「Bio-Ossを用いたGBRでの吸収性メンブレンと非吸収性メンブレンの比較」では吸収性メンブレンのほうが成績は良かったとされているが,注目されるのは「44%にメンブレンの露出が認められた」とされている.これらは術後の骨増生部への外圧によることが多いと考えられる.それを避けるために筆者は骨増生術後の管理を重要視している. 以前, Quintessence DENTAL Implantologyで執筆したとおり,筆者は骨増生時にマイクロムーブメントを起こさせないための外圧遮断に注意している3).サイナス内における骨増生では,骨増生部における外圧遮断は容易である.サイナス内には外圧がかからないので,手術が成功すればほぼ良好な結果が得られる.しかし外側性の骨増生では,容易に外圧がかかってしまう.強い外圧がかかればチタン強化メン はじめに 何らかの理由で歯を失うとき,同時に周囲骨も失うことが多い.欠損に対する補綴はデンチャー,ブリッジ,インプラントが選択されるが,インプラントを選択する場合はその部位の骨量が大きなポイントとなる.周囲骨を大きく失った欠損部位においてインプラント治療を行う場合,骨増生が必要になる. われわれ臨床医が骨増生を行う場合,さまざまなマテリアルが選択できる.自家骨,他家骨,異種骨,人工骨などから選択する場合,患者の侵襲や生体組織からのマテリアルの採取による感染のリスクなど1)を考慮すると,人工骨で十分な結果が得られれば臨床家にも患者にも多くの利益となる. 筆者は骨増生時には,非吸収性のHAとβ-TCPの50%ずつの混合材料を使用して良好な結果を得ている.非吸収性のHAはボリュームの維持を担い,β-TCPは吸収して新生骨へ置換を期待して使用している.β-TCPはプラトンジャパンの「PLATONパールボーン」を使用して良好な臨床が行えており,今回その症例の一部を報告する.

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