SAFE Troubleshooting Guide Volume 6 生物学的合併症編
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2-4 インプラントの撤去によるインプラント周囲炎初期への対応るために外科切除療法を試みた。全層弁を形成しインプラント周囲骨を露出した。₇は隣接する₆の7mm程根尖側に位置し、セメント合着の補綴装置が設置されていた。インプラント周囲の肉芽組織を除去したが、インプラント周囲の骨吸収は認められなかった(図2-a~c)。インプラント周囲の骨を平坦化し、全層弁による根尖側移動術を試みたものの、近遠心周囲骨が高すぎて、骨削除を行うと₆部のインプラントに影響するため、断念し縫合閉鎖を行った。術後6ヵ月のデンタルX線写真では、インプラント遠心部の骨が吸収し平坦化しているものの、インプラント周囲組織の状態は依然BOP(+)で、8mmのポケットが存在していた(図2-d、e)。トラブルの対処 インプラントの治療計画を行う際には、理想的な位置にインプラントを埋入すべきである。特に近接してインプラントを配置する場合は、近遠心、頬舌側位置のみでなく、垂直方向の埋入深度も十分に考慮する必要がある。審美領域であれば埋入が深すぎると審美障害が生じるが、非審美領域においては清掃性に問題が生じ、インプラント周囲組織の管理が困難になる。本症例の場合、インプラント周囲のポケットが深いものの骨吸収を認めない状況であり、また患者のプラークコントロールの状況が良好でも、炎症をコントロールすることは大変難しい。トラブルの解決方法 インプラント周囲の炎症およびポケットを除去す2対処および解決方法(メソッド・シューティング)ab図2-a ₆部より7mm程、根尖側に₇部のショルダーが存在する。図2-b 補綴装置はセメント合着されていた。図2-c 骨削除は行わず、妥協的に縫合閉鎖を行った。c問題提起 臼歯部へのインプラント埋入において垂直的な骨高径の不足によりインプラントポジションが揃わないことがよくある。残存歯の存在や垂直的骨増生の是非を考慮しなければ、清掃性の良い補綴装置は製作できない。局所的な状況を診断し、インプラントの埋入ポジションや本数を検討することが重要である。図2-d ₇遠心部の骨は平坦化しているものの下顎枝の存在により遠心部は深い骨吸収状になった。図2-e ₇部にはBOP(+)で8mmのポケットが依然存在する。de71SAFE(Sharing All Failed Experiences) Troubleshooting Guide Volume6 生物学的合併症編

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