マイクロデンティストリー YEARBOOK 2021
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PART1PART2PART3PART475別冊the Quintessence 「マイクロデンティストリー YEARBOOK 2021」私のミラーテクニック武者修行3ミラーテクニックの必要性を理論的に理解する ミラーテクニックは歯科治療を行うための基本,必須の技術であるにもかかわらず,習得できていない歯科医師が非常に多い.それは顕微鏡歯科治療においても同じことであり,ミラーテクニックができないばかりに顕微鏡歯科治療を諦めてしまう歯科医師も多い.一方で,必要な視野を得られないのに“ミラーテクニックなんて使わなくても直視により顕微鏡を使いこなすことができる”などと勘違いさせる情報すら喧伝されることが多くなり,暗澹たる気持ちになる. ミラーテクニックを習得できていない歯科医師が多い最大の理由は,やはりその必要性を本質的に理解できていないことである.この論文の目的は顕微鏡歯科治療のためにはミラーテクニックが必要であることを再確認していただくことに加えて,顕微鏡歯科治療を発展させるためにはmotorized microscope(電動顕微鏡)が必須となることをご理解いただくためのものである.三次元のことを文字と静止画写真という二次元情報で表現するので理解しづらいと思うが,どうか最後までお読みいただきたい(最後に二次元ではあるが,動画を2本用意した).三橋 純東京都開業 デンタルみつはし連絡先:〒156‐0043 東京都世田谷区松原3‐28‐6はじめにマイクロスコープを歯科治療に用いる意義1 顕微鏡を処置に用いる意義は“見ながら治療すること”であるが,いったい何を見るのであろうか.2枚の写真(図1a,b)はともに顕微鏡を用いて下顎前歯舌側面のスケーリングを行っている.図1aは超音波チップの側面が歯石と根面の境界に当たっているのが見える.一方,図1bは顕微鏡を使っているという様子は見えるが,肝心なチップが当たっているところは見えていない.つまり,マイクロスコープで“見ながら治療すること”とは治療器具と治療対象部位との立体的な関係性を見ながら行うことなのである.そして,このような立体的な関係性を見ることができる視野のことを“active sight”と呼ぶことにする.顕微鏡歯科治療の本質はいかにしてactive sightを持続的に得ながら治療すること,ともいえ86頁(使い方:目次参照)

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