Digital Dentistry YEARBOOK 2021
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17ジルコニアの現状と臨床応用の留意点歯科用ジルコニアは2005年に日本に導入されてから劇的に変遷を重ねている。当初は陶材を前装するためのコアとして、金属の代替えとしての用途が主流であったが、現在では陶材を前装しないモノリシックジルコニア冠(フルジルコニア冠)が主流となっている。さらに、プリシェード型やその積層型など、多様な歯科用ジルコニアが歯科応用されている。ようになる。この結晶相はイットリウム含有量すなわちイットリア(Y2O3)含有量で制御でき、イットリア含有量が多いほど立方晶が多くなる(図2)。正方晶と立方晶が混在しているものは、部分安定化ジルコニア(PSZ:Partially Stabilized Zirconia)とよばれる。さらに、イットリア含有量が約3mol%のとき、室温で純粋なジルコニア(ZrO2)は、単斜晶、正方晶、立方晶の3つの結晶系があり、温度により変態する(図1)。室温では単斜晶が安定である。ジルコニアにイットリウム(Y)など、ジルコニウム(Zr)よりも大きなイオン半径をもつイオンを固溶させると正方晶や立方晶が室温でも安定に存在できるはじめにはじめに1.歯科用ジルコニアの微細構造と特性変化1.歯科用ジルコニアの微細構造と特性変化図1 ジルコニアの結晶構造。図2 ZrO2-Y2O3二元系状態図(本図は参考文献1より引用・改変)。

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