エンド・マテリアルセレクション
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Professional #11112抜 髄Pulpectomyはじめに 筆者は、歯科医師となり約35年が経ち、日常臨床でマイクロスコープを使用するようになってから約21年になろうとしている。日々の臨床に接するなかで、常々気になることがいくつかある。特に、再治療を考慮した治療が行われていないこと(疼痛の消失をはじめとするその場しのぎの解決のみを目的とした治療)と、歯質の過剰切削による歯根破折(マイクロスコープの恩恵により確定診断が可能となった)の多さに失望すら覚えてしまうことがある。 本稿では、歯科医師の先生方、特に卒後間もない臨床経験が少ない歯科医師に、健全歯質を温存するためにTruNatomyを使用した症例について述べてみたい。症 例 歯質を最大限保存するための抜髄患者年齢および性別:59歳、男性主訴:左上犬歯の大きなう窩と自発痛。現病歴:冷水痛とともに口蓋側歯質が欠け、徐々に痛みが強くなってきた。当院受診経験があったため、市外に転居したにもかかわらず来院。現症:口蓋側歯質の崩壊と多量の感染歯質あり、自発痛(+)誘発痛(+)打診痛(±)既往歴:特記事項なし口腔内診査:❶マイクロスコープにて口腔内診査(図1)X線診査:大きな実質欠損、歯髄腔まで及ぶう蝕が認められる(図2)。臨床診断名:不可逆性歯髄炎抜髄・根管治療の流れ。①う窩開拡④術野の清掃・消毒②感染歯質除去⑤天蓋除去③ラバーダム装着⑥根管口明示⑦根管探索⑧根管口修正⑪根管拡大形成⑨作業長決定⑫根管洗浄⑩グライドパス形成⑬根管充填

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