必ず上達 自家歯牙移植・再植
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④逆根管充填(1)充填材料▶逆根管充填材料はいろいろあるが,生体親和性・封鎖性・安定性などより,現時点ではMTAセメントが推奨されている 6, 7.(2)抜歯窩の掻爬▶抜歯窩は肉芽の掻爬を行う.即時型の移植と同様,周囲に歯根膜組織が残存していると思われる部分は温存できるとよりよい結果となる.しかし臨床的にはその区別が難しいため,筆者は肉芽をしっかりと掻爬することを優先する.⑤再植▶その後,抜歯窩に歯根面を押しつけないように再植を行う.▶抜歯窩に血餅が溜まっている場合は,吸引せず残したまま再植する.▶外科的挺出を応用する場合は,浅めに設置する.この際に深く埋まりこまないようにするために,筆者は抜歯窩にコラーゲン(テルプラグⓇ)を挿入してから,再植をすることもある.そして縫合にて固定を行う.【Q2】破折部や根尖部など,スーパーボンドⓇとMTAセメントの使い分けは?(1)逆根管充填▶かなり昔では逆根管充填にアマルガムを用いた時代もあったが,材料は日進月歩でより良いものを使用していきたい.筆者は逆根管充填には「スーパーボンド®」を多用していた.臨床成績は決して悪くないと思うが,さらに成績の向上を目指してMTAセメントを用いるようになった.▶現時点では,根尖部やパーフォレーションの封鎖などにはMTAセメントが第一選択であると考えている.しかしながら,この用法は適応外使用になるため,その点は注意が必要である.(2)破折部への修復・封鎖▶破折部への修復・封鎖に対しては,「生体親和性」よりも「接着」を優先する考えから,現在でも「スーパーボンド®」を使用している.▶理想的には破折線の内層に接着のためスーパーボンド®を用い,外装に生体親和性のためMTAセメントを用いることができれば,と考えている.しかしスーパーボンド®の接着面が少なくなること,2つの材料を使うことにより口腔外での作業時間が長くなること(歯根膜へのダメージ)を考慮すると,現実的ではないと思われる.【Q3】抜歯した歯を再植する際に,うまく戻らない(挿入しにくい)ときは?▶再植は,いったん抜歯をした後,元の場所に戻すため,戻らないということはないはずである.しかし,歯根の肥大や湾曲など,そもそも抜歯が簡単にはいかないようなときには,当然戻す際も容易に入らないことが予想される.これを無理して挿入すると,歯根膜を傷つけることになり,予後に不安を抱えることとなる.▶抜歯をスムーズに行えなかった場合は,その原因を考えてから再植するようにする.つまり,どこかに引っかかるところがあるため,それを解消する必要がある.▶その際,歯根を削合するわけにはいかないため,歯槽骨を削合することとなる.自家歯牙移植と同じで,内部は多少緩くても問題ないので,歯根が抵抗なく挿入できる程度まで,骨を削合するとよいであろう(症例3a~p).⑥固定(1)縫合と固定期間▶固定は強固に行うと後のアンキローシスにつながるため8,原則,通常は縫合のみで行う.臨床実感としては意図的再植はもともと抜歯窩と歯根形態が一致しているため,自家歯牙移植時ほどの固定は必要ない場合が多い.しかし縫合のみでは不安定な場合は,隣在歯と固定する.▶年齢などの条件にもよるが,自家歯牙移植よりも固定期間は短めのことが多い.2週間ほど経つと縫合糸も緩んでくるが,その時点で大きな動揺がなければ,抜糸をして固定除去する.(2)ブラッシングと食事▶それまでの間は,患歯のブラッシングは禁止とし,圧がかかるような食事も避けるよう指示する.78再植PART 2

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