必ず上達 自家歯牙移植・再植
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【Q2】破折部位を接着する際の注意点は?(スーパーボンド®の使用法)▶破折部位の修復は,ある程度細かい作業になるため,拡大鏡やマイクロスコープを用いたほうがよい.そうすることで,より精度の高い治療ができ,予後の向上にもつながると考える.▶まず確実な接着のため,接着阻害因子に注意する(図6).次亜塩素酸ナトリウムなどを用いた場合は,中和剤のアクセル液を用いる(図7).破折面は一層削合し,新鮮な象牙質を露出させて,その後「スーパーボンド®」付属の「10-3溶液(グリーン)」で酸処理・生理的食塩水にて水洗すると,汚染物質の除去にもつながる.そしてその部位に直接触れないように配慮してとりかかる.▶接着にはモノマー液とキャタリスト液を混和した活性化液を用意するが,この活性化液には組織に対する起炎性が考えられる14,15ため,歯根膜に接しないように細心の注意が必要である.しかし,ポリマー粉末との混和後には組織の為害作用はほとんどない16といわれている.また,硬化は空気中で開放した状態で硬化させるよりも,血液に浸漬したほうが炎症は起こりにくいという報告もある14-17.▶これらのことより,スーパーボンド®を練和し,シリンジにて不足のないように流し込み,血液に浸漬させて重合し,硬化後に研磨をするという手順が理想である.しかし,シリンジのみできれいに充填するのはなかなか困難と思われるので,筆者は筆積みによる充填も行っている.また,混和後は歯周組織に為害作用は少ないといわれても,歯根膜には付かないように配慮する.・歯根面の汚染(唾液・血液・滲出液・プラークなど)・根管洗浄剤(次亜塩素酸ナトリウム・オキシフルなど)・根管貼薬剤(FC・メトコールなど)・根管充填材(ガッタパーチャ,とくにユージノール系のシーラーなど)動画3<参考症例>歯根尖切除術および歯根破折修復を行った再植症例93垂直性歯根破折歯への対応CHAPTER 9on症例3n, o 同3年9か月後.歯周ポケットも浅くなり,ある程度骨欠損も改善した.図6 接着阻害因子に注意する.図7 「アクセル液」(サンメディカル).

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