歯科医院でもできる! 口臭ケア
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実践編 口臭を診よう28市販の口臭チェッカーを患者さんがもってきていたら口臭を気にする患者さんが、市販の口臭チェッカー(携帯用簡易口臭測定器)を根拠に自分の口臭について説明・質問してくることがあります。あるいは、歯科医師の回答と口臭チェッカーの数値が合致せず、不安や不満を訴える患者さんもいます。しかし口臭チェッカーは周囲の環境的なにおいにも反応するように作られていたり、 患者さんが何度も息を吐きかけることで反応が強く出たり、逆に呼気中の水分がセンサーに付着することで感度が落ちてしまうなど、その測定値が口臭の有無を証明するかというと、なかなか難しいところです。患者さんにはこうした現象が生じることを説明する必要があります。現在のところ、総合的には機器より人間の嗅覚の方がにおいセンサーとしての機能が優れていますから、専門家としては官能検査を優先することを伝えましょう。口臭ケアにおける官能検査とは、人間の嗅覚で口臭の有無を判断する検査のことです(口臭専門外来などで行われる官能検査については52ページ参照)。そのため、評価に個人差が付きまといます。しかしもっとも手軽で一般歯科でも取り入れやすい方法といえるでしょう。患者さんには普通に呼吸や会話をしてもらい、通常患者さんが口臭を気にする状態を再現してもらうようにします(ハーッと息を大きく吐く必要はありません)。評価のブレについては複数人で嗅ぐ、事前に評価のキャリブレーション(評価尺度の共有・すり合わせ)などの工夫をして補います。もし診療中の会話中に患者さんから「口臭が心配なんです。においませんか?」と聞かれたら、率直にその有無を伝えましょう。におうようであれば、「そうですね、においますね」「誰にでもあるレベルですよ」などと答えます。あるいは官能検査表1(右ページ)を用いて判断し、表を患者さんに見せながら「今はこのレベルかなと感じます」と評価を伝えます。においを感じなければ「今この状態(距離)では感じませんけど、他の歯科衛生士にも確認してもらいましょうか?」と回答します。「お願いします」と言われたら、歯科衛生士にも息を嗅いでもらいます。あるいは、「特ににおいはしませんね。念のため一度口を閉じてもらって、貯めた後のにおいを確認しましょうか?」と患者さんの意向を聞いて再検査することもあります。一般歯科医院でもできる口臭ケア ②口臭の評価(官能検査)

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