歯科医院でもできる! 口臭ケア
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81口臭症が寛解した患者さんは、まったく違う人物に生まれ変わったわけではありません。やはり口臭に関する話題には敏感だったり、不安を想起させるできごとや言葉によって、また自分のお口のにおいが気になって仕方ない、となってしまったりするかもしれません。長らく自分の口のにおいに悩んだり、誰かに「くさい」と言われたことがトラウマになっていた患者さんならなおさらです。口臭症の病歴がある患者さんに対してだけではなく、歯科医院で口臭に関する話題を扱う際は、細心の注意を払いましょう。まだ相談できていないだけで、お口のにおいに悩む患者さんは目の前にいるかもしれません。歯科医院の外には患者さんの不安をあおる言葉があふれています。院内だけでも、そうしたことのない空間であることを専門職として保障するべきではと考えます。また、既往歴のある患者さんが「口臭が再発した」と思ったときにまず相談する相手として思い浮かべてもらえるよう、いつもの歯科診療によって信頼関係を維持していきましょう。特に口臭治療を終えた患者さんの前ではNGな言動(例)口臭が消失=不安が二度と生じないわけではない◦◦患者さんが診療室に入ってきたとたん窓を開ける◦◦患者さんと話すときに不自然に距離をあける(感染症対策である場合はあらかじめその旨を述べておく)◦◦鼻や口に手を当てるなど、「自分の口がくさいのだ」と解釈されてしまう行動◦◦かつての口臭治療中に患者さんがささいなことで悩んでいたことを揶揄する(患者さんが自嘲しても同調しない)◦◦他の患者さんと他者に聞こえる場所や大きな声で口臭の話題について盛り上がる(一緒に盛り上がらずできるだけ早く収拾する)◦◦他の患者さんに聞こえるように「口臭は問題ないですか」などと口臭で悩んでいたことが知られてしまう問診や声かけをする◦◦客観的口臭が再発したとき、率直に「口がにおいますね」と言ってしまう(炎症の再発やブラッシング不足など原因についてのみ言及する)

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