矯正歯科治療の基本と類似症例が必ず見つかる!ラーニングステージ別臨床例60
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AAL1PogL1 to APo36Chapter2 矯正治療における検査・診断・治療方針の基礎知識ab図2-5a,b 下顎切歯切端の唇舌的な位置の評価法(a)とその拡大図(b).L1 to APoの標準値(+3~4mm)と大きく異なる場合は,抜歯や顎骨自体の移動,外科矯正を考慮する.ab図2-6a,b バイヘリックス(BH;Bi-Helix)による側方拡大.犬歯以降の歯の頬側への整直により歯列弓形態が改善し,前歯部叢生が改善している.a:矯正治療開始時.b:3か月後.cd図2-6c,d 急速口蓋拡大装置(RPE;Rapid Palatal Expansion)による側方拡大.装置を装着していない₁₁間にスペースができていることから,正中口蓋縫合の離断が起きていることが観察される.c:側方拡大開始時.d:2か月後.Pog下顎切歯切端の唇舌的な位置の評価法L1 to APo犬歯間幅径の増大に対する側方拡大A)下顎切歯の唇舌的な位置(図2-5)  下顎切歯部はもともと唇舌的な歯槽骨幅径が狭く,歯槽骨内での移動距離の自由度が少ない.そのため,下顎切歯を唇側傾斜させて前歯部の叢生改善を行うことがあるが,平均的歯軸(例:側方セファロ分析でのIMPAの基準値)を超えて行うと,口唇力によって後戻りの原因になる.また,抜歯,非抜歯の決定基準の指標にL1 to APo(日本人の平均値:+3~4mm)が頻用されるが,平均値と大きく異なる場合は,歯槽性の移動では安定性に欠けるため顎骨自体の移動や外科矯正を絡めた治療計画を考慮するべきである.B)犬歯間幅径(図2-6)  萌出後の下顎犬歯間幅径の増大は後戻りの原因となる.ただし,下顎犬歯に舌側傾斜が存在する場合の頬側への整直は許容される.上顎犬歯間幅径の増大は,正中口蓋縫合の癒合前である20歳前後まで(男性:~20歳,女性:~25歳)であれば離断を行うことにより骨格的な側方拡大が可能であるが,それ以降の年齢の場合は外科的な正中口蓋縫合の離断を考慮するべきである.C)上下顎切歯歯軸交叉角(図2-7)  上下顎切歯歯軸交叉角(interincisal angle)は

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