矯正歯科治療の基本と類似症例が必ず見つかる!ラーニングステージ別臨床例60
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口唇<130°abdcabc37130°~135°>135°舌上下顎切歯歯軸交叉角Case46☞詳細はChapter4(355ページ)へ130°~135°が標準値となる(図2-7a).矯正治療によってこの角度を小さく仕上げた場合,口唇力によって舌側へ傾斜し,オーバーバイトが大きくなり上下顎ともに叢生が再発しやすくなる.また,矢状顆路角に対して矢状切歯路角が大きくなりすぎるため外傷性咬合の原因になりやすい(図2-7b). 逆に小臼歯抜歯ケースで起こりやすいのは,抜歯スペース閉鎖のためにルートリンガルトルクを作用させたにもかかわらず,前歯部の後方移動が傾斜移動となって歯軸を整直させ過ぎてしまい,切歯歯軸交叉角が大きく仕上がってしまうことがある.その場合は舌房が狭くなり,舌圧により唇側傾斜を誘発し,経年的に開咬や空隙歯列傾向になりやすい(図2-7c).₄₄抜歯にて治療した症例の矯正治療前(a,b)と矯正終了時(c,d).上顎のみに叢生を認めたため,臼歯における対合歯との咬合関係はアングルⅡ級の仕上がりになっている.図2-7a〜c 上下顎切歯歯軸交叉角.130°~135°が標準値となる.D)臼歯部の咬頭嵌合(Case46)  包括的歯科治療の範疇である矯正治療によって緊密な臼歯部咬合関係を構築することは,後戻りを防止する意味で絶対要件となる.上下顎において,対称的に抜歯をする治療計画の場合には,犬歯,臼歯部ともにアングルⅠ級の関係とする.アングルⅡ級1類で下顎に叢生を認めない場合に上顎の片顎抜歯でアングルⅡ級の大臼歯における対合歯との咬合関係とすることもあるが,いずれにしても緊密な咬頭嵌合を獲得する必要がある.歯の形態にはバリエーションがあるため,臨床においては,矯正治療のみによって理想的な咬頭嵌合を獲得できない状況に頻繁に遭遇する.その場合,矯正治療中や矯正装置撤去後に咬合調整や修復処置を行い,その結果,良好

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