矯正歯科治療の基本と類似症例が必ず見つかる!ラーニングステージ別臨床例60
4/11

101顎間ゴムの作用による歯の移動方向の例上顎前歯部の後方移動時の移動様式③アンカレッジベンド(図3-33).④プレーンまたは逆スピーのワイヤー(図3-34).⑤ユーティリティーアーチ.⑥顎間ゴム(図3-35).①タングガード(悪習癖の改善を含む).②前歯部の挺出(図3-25).③大臼歯の圧下(図3-30).④大臼歯の近心移動(咬合高径が下がるため). 水平的なコントロールを言い換えれば,オーバージェットのコントロールということになる.上下顎切歯部のオーバージェットの標準値は+2~3mmで,アングルⅡ級1類の場合はオーバージェットの減少のために上顎前歯を口蓋側へ移動させることにab図3-35a,b Ⅱ級ゴム,Ⅲ級ゴムや垂直ゴムは,大臼歯部に垂直成分である挺出力がかかるため,前歯部のオーバーバイトは減少傾向になる.ただし,Ⅱ級ゴムやⅢ級ゴムの場合は,ゴムをかけた前方部の歯に挺出力がかかるため相反する圧下力(例:逆スピーのワイヤーの挿入)をかけないと,オーバーバイトの減少は起こらない.a:Ⅱ級ゴム.b:Ⅱ級ゴム+垂直ゴム.abc図3-36a〜c 上顎前歯部の後方への牽引は,歯根の回転中心を支点に口蓋側への傾斜と挺出が起こり,オーバーバイトが大きくなる.この歯の動きを防止するためには,相反する力である偶力(パラタルルートトルク)が必要である.a:偶力をかけない場合は傾斜移動しオーバーバイトが大きくなる.b:パラタルルートトルクをかけて歯体移動させるのが望ましい.c:レクトアンギュラーワイヤーの挿入により,偶力であるパラタルルートトルクが作用する.a.上下顎前歯の後方移動ではオーバーバイトが大きくなる傾向があるため,過蓋咬合の場合はオーバージェットの減少の前に十分オーバーバイトを減少させておく  上顎前歯の後方への移動量が大きい治療計画の場合は,できればオーバーバイトが0mmくらいの浅い状態になってからオーバージェットの改善に着手するのが好ましい(図3-36).なる.前歯部の前後的な移動を行う際は,上下顎前歯部が咬頭嵌合位で接触しておらず,クリアランスが確保されていることが必要で,オーバージェットの改善の前にオーバーバイトの改善を行うというのが大原則である. アングルⅢ級の場合の歯列矯正での改善は,上顎切歯の歯冠を唇側移動し,下顎切歯の歯冠を舌側へ移動することになる.G)オーバーバイトを増加させる具体的な方法 A)アングルⅡ級1類でオーバージェットを減少させる際の留意点 2)水平的なコントロール 

元のページ  ../index.html#4

このブックを見る