矯正歯科治療の基本と類似症例が必ず見つかる!ラーニングステージ別臨床例60
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cfbeghiadStage 1&2(初級編) jStage 3 to 5(中級編)Stage 6&7(上級編)Stage 8&9(リカバリー編)Stage 10(これからの矯正治療編) 患者:7歳10か月,女児初診:2011年8月主訴:上の前歯が捻れて生えてきた.症例概要:口腔内所見(図4-16-1a~f)にて上下顎ともに重度叢生で,11は翼状捻転して萌出中で,歯列弓形態は上下顎ともにV字型で狭窄していた.アーチレングスディスクレパンシーは上顎-8mm,下顎-10mmで側貌(図4-16-1g~j)から上唇の突出感があり,11は唇側に位置していることが観察された. パノラマエックス線写真(図4-16-2)からは歯数に問題はみられないが,上下顎ともに後続永久歯の萌出スペースが不足していることは明らかであった.成人の場合,上顎前突で重度叢生であれば上下顎小臼歯の4本抜歯でのⅠ級仕上げ,または上顎のみ小臼歯2本抜歯によるⅡ級仕上げとすることが一般的だが,本症例は7歳の女児ということで成長余力が期待できること,上下顎ともにV字型歯列弓なので側方拡大による歯列弓形態の改善で萌出スペースを獲得し叢生の改善が行えると考え,上下顎ともに非抜歯での治療計画とした. 側方セファロ(図4-16-3)ではSNA:80.5°,SNB:75.8°,ANB:4.7°で上下顎の骨格系のアンバランスがほとんどなく,U1 to FH:122.9°で上顎中切歯の唇側傾斜が顕著な歯系の上顎前突であることから,非抜歯で治療を進めることとした.診断名:アングルⅠ級,骨格性Ⅰ級の上下顎叢生,上顎前突.治療方針:側方拡大および下顎前方誘導による上下顎叢生と上顎前突の改善.175Stage1初級編1-8顎間関係の改善Case 16図4-16-1a~j 初診時の口腔内および顔貌写真.Case 16上顎前突・上下顎叢生に対する上下顎歯列の側方拡大,下顎前方誘導

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