日本歯内療法学会がすべての歯科医師に贈る最新トレンド
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12東京都開業 澤田デンタルオフィス102 再根管治療で狭窄した未処置根管に感染がみられたり,高齢者の根管治療で狭窄した根管に感染の再発がみられることがある.コーンビームCTを撮ることにより未処置根管の存在を予測できたとしても,実際には実体顕微鏡下でその痕跡をたどりながら根管内の感染源を取り除くことになる.根管口付近であれば髄床底の溝などを参考にしながら狭窄根管を探索することも可能であるが,根管口からさらに深くまで狭窄してしまっているとその探索は難しく,本来の根管の探索(ネゴシエーション)および穿通(patency)が難しい症例もある. 本稿では,根管が狭窄している場合の探索法について,実際の症例を例に挙げながら検討を加える.なお本稿は日本歯内療法学会第41回学術大会において誌上発表した内容に最新情報を加えたものである. 髄床底を実体顕微鏡下で診ると,見落とされている根管を発見することがある.見落とされている根管はもともと根管が細いことに加えて,抜髄後残髄した歯髄の石灰変性によりさらに根管が狭窄しているため,根管の探索(ネゴシエーション)は困難を極めることになる. 従来であれば,細い手用ファイル(#8,#10)で根管を探り,手用ファイルで根管口を#35ぐらいまで拡大し,その後にゲーツグリッテンドリルを用いてコロナルフレアを行っていた1.根管口付近とはいえ,手用ファイルで根管口を#35まで拡大するのにはそれなりに時間を要するため,Ni-Tiファイルが進化した時点で,筆者はゲーツグリッテンドリルの誘導路作りのためにNi-Tiファイルを使用することもあった. しかし,最近では小さなカーバイドバーを用いてこのステップを行っている(図1,2).実体顕微鏡下で行うというのが条件ではあるが,この方法を用いれば治療時間は短縮され,確実な根管の探索が可能となる.また,根管深部の探索には従来ダイヤモンドコーティングした超音波チップ(超音波用ダイヤファイルシングル,マニー)別冊the Quintessence  日本歯内療法学会がすべての歯科医師に贈る最新トレンド図2 狭窄根管の探索に使用するカーバイドバー.サージカルバー#330(上, マニー)の径は0.8mm,エンドトレーサー (下,コメット)の径は0.4mm.Step1. Access Cavity Preparation 髄腔開拡Step2. Coronal Flare(コロナルフレア)Step3. Apical instrumentation3-1 Negotiation & Patency(根管の探索と穿通)3-2 EMR(電気的根管長測定)3-3 Glide path3-4 NiTi instrumentationPart 3テクニック編-4澤田則宏緒言狭窄根管の探索方法図1 根管治療の3ステップ.根管が狭窄している場合,ステップ2ではサージカルバー#330(マニー)とエンドトレーサー径0.4mm(コメット)を用いる.ステップ3の根管の探索(ネゴシエーション)では,スーパーファイル(マニー)をOGPモード(トライオートZX2,モリタ)で使用する.狭窄根管の探索

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