全顎矯正と部分矯正へのアプローチ
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4abc5abトラブルトラブル図2a~c 歯肉肥大.とくに 3〜3 歯肉の腫脹と出血に対して歯みがき指導や歯周基本治療を行い,歯肉の炎症の軽減を図る(a).上顎はブラケットを装着してレベリングを行ったが,下顎はプレート(床装置)などの可撤式装置により治療した(b).歯肉炎が改善したのち,下顎にブラケットを装着してレベリングを行い,非抜歯で矯正治療を終了した(c).図3a,b 金属アレルギー.下顎にブリッジを装着後,手のひらに皮膚症状の発症を認めた(松村光明.掌蹠膿疱症と金属アレルギー①:セラミックス材料への交換症例.In:押村進,髙橋愼一(監著).その皮膚疾患歯科治療で治るかも.東京:クインテッセンス出版,2020;95,96より引用).     顎間ゴムの使用時間の減少やプラークコ対 策ントロールの低下など,患者のコンプライアンスが低いことは難しい問題である.話し合いや治療前後の説明が足りてないこと,治療期間の長期化が原因として考えられる.当院ではお子さんの場合,保護者を含めてしっかりと説明すること,カレンダーを渡して使用した日はシールを貼ってもらうなどの取り組みを行っている.また,必要であれば,写真を     初回の問診時に金属アレルギーが判明す対 策れば,当院ではマウスピースによる矯正治療をすすめている.金属アレルギーはマルチブラケットによる矯正治療中にも発症する可能性がある.とくにニッケルに対してアレルギー反応を示す患者は一定数いると考える(図3)1が,当院では現在まで矯正治療中に患者が金属アレルギーを訴えたことはない. 仮に患者の訴えがあった場合,まずは矯正装置に6章311撮影してそれを見ながら説明することでコンプライアンスの向上に努めている.さらにクオリティを落とさず来院間隔を短くするなどして可能な限り治療を早期に終了することも大切である.図2は矯正治療前は下顎の前歯に歯肉肥大があり,歯磨きをすると出血や疼痛があり,歯肉肥大が進行したがプラークコントロールの指導により改善した例である.より発症したか確認する必要があり,皮膚科医にパッチテストを依頼する.原因金属がわかり,マルチブラケット治療を継続する場合はセラミックブラケットやチタンブラケットを使用し,ニッケルフリーのゴムメタルワイヤーを使用する.もしくはマウスピース矯正治療に変更することで金属アレルギーの発生を防げる.矯正治療にまつわるトラブルと対策患者のコンプライアンスが低い金属アレルギー

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