PRD 8月
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31Volume 22, Number 4, 2014下顎歯肉退縮の治療に対する上皮下結合組織移植術とrhPDGFの併用:ケースシリーズRobert P. Rubins, DDS, MScD1Paul N. Tolmie, DDS1Kenneth T. Corsig, DMD, MHS1Eric N. Kerr, DDS, MS1David M. Kim, DDS, DMSc2Original Title:Subepithelial Connec-tive Tissue Graft with Purified rhPDGF-BB for the Treatment of Mandibular Recession Defects: A Consecutive Case Series 結合組織移植術(以下CTG)と歯肉弁歯冠側移動術(以下CAF)の併用は,Millerの分類Class ⅠおよびClass Ⅱの歯肉退縮の改善にすぐれていることが示されている1-5.根面被覆率,角化歯肉の獲得,根面被覆の長期的安定性を評価すると,このことは特に明白である1, 2, 4, 5, 6-9.しかしながら,上顎と下顎それぞれの歯肉退縮に対する結果の違いについて検討したシステマティックレビューは存在せず,その代わりに上下顎を合わせたデータが示されている.浅い口腔前庭,小帯の高位付着,薄い歯肉のバイオタイプのため歯冠側移動する歯肉弁が薄くなってしまうこと,薄く,時に裂開のある頬側の骨といった治療を困難にする問題は,上顎歯肉退縮には一般的にみられない10-15.下顎前歯部の治療成績は,上顎の結果と大きな差があるかもしれない10. 近年のリコンビナント成長因子関連のテクノロジーの進歩により,下顎歯要約(Abstract) 浅い口腔前庭や小帯の高位付着,薄い頬側の骨といった解剖学的な特徴は,下顎の歯肉退縮の治療をきわめて困難なものにしてしまう.結合組織移植術(CTG)と歯冠側移動術(CAF)の併用が,Millerの分類Class ⅠまたはClass Ⅱに対してもっとも効果的な治療であるとする多くのシステマティックレビューが存在するものの,それらの研究では,上顎と下顎それぞれの結果ではなく,上下顎を合わせた結果が報告されている.今回の前向きケースシリーズでは,11名の健康な患者のMillerの分類Class ⅠおよびClass Ⅱの下顎歯肉退縮の治療に対して,リコンビナントヒト血小板由来成長因子BB(rhPDGF-BB)とCTGsを併用した.ベースライン時から24週までの歯肉退縮の平均深さと幅の変化量は,平均深さは3.4±0.5mmから0.8±0.8mm,平均幅は3.1±0.7mmから1.7±1.3mmへと減少し,ともに統計学的有意差が認められた.歯肉退縮深さの改善の結果として,今回の下顎に対する前向きケースシリーズの6ヵ月時の平均根面被覆率は79%であった.これまでの水準に匹敵する治療結果にもかかわらず,特に24週時の根面被覆率がそれほど良好でなかったということは,下顎歯肉退縮は解剖学的に治療が困難な部位であるということを強調しているといえる.(Int J Periodontics Restorative Dent 2014;34:315–321. doi: 10.11607/prd.1635)1Private Practice, Charlotte, North Carolina, USA.2Assistant Professor, Department of Oral Medicine, Infection and Immunity, Division of Periodontics, Harvard University School of Dental Medicine, Boston, Massachusetts, USA.Correspondence to: Dr Robert P. Rubins, Charlotte Perio, 3535 Randolph Road, Suite 103-R, Charlotte, NC 28211; fax: (704) 365-8640; email: bobrubins@charlotteperio.com.

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