PRD 10月
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39Volume 22, Number 5, 2014患者固有の粘膜色に着色したアバットメント:ケースシリーズTakashi Sumi, DDS, PhD1Kenji Takeshita, DDS2Takuro Takeichi, DDS, PhD3Paulo G. Coelho, DDS, PhD4Ryo Jimbo, DDS, PhD5Original Title:Patient-Specific Gingi-va-Colored Abutments: A Case Series要約(Abstract) 今回の報告の目的は,患者の審美的な要求を満たすために粘膜色に着色したアバットメントを利用した症例を提示することである.アバットメントの色は,デジタルシェードガイドを用いて患者の辺縁歯肉の色を評価することによって決定した.その後,CAD/CAMアバットメントを陽極酸化した.3名の患者のデジタル色情報をベースラインと1.5年後の歯肉の色とで比較した.1.5年後に歯肉色,辺縁骨や軟組織のレベルがベースライン値と変化なかった.このように,陽極酸化された粘膜色のアバットメントは,特に薄いバイオタイプの歯肉を持つ患者のために,辺縁歯肉の審美性を向上できた.(Int J Periodontics Restorative Dent 2014;34:469-475. doi: 10.11607/prd.2071)1Private Practice, Ichinomiya, Aichi, Japan.2Private Practice, Nerima-ku, Tokyo, Japan.3Lecturer, Department of Fixed Prosthodontics, School of Dentistry, Aichi Gakuin University, Aichi, Japan.4Associate Professor, Department of Biomaterials and Biomimetics, New York University College of Dentistry, New York, New York, USA.5Associate Professor, Department of Prosthodontics, Faculty of Odontology, Malmö University, Malmö, Sweden.Correspondence to: Dr Ryo Jimbo, Department of Prosthodontics, Faculty of Odontology, Malmö University, 205 06 Malmö, Sweden; fax: +46 40 665 8503; email: ryo.jimbo@mah.se. コンピュータ支援設計/コンピュータ支援製造(以下CAD/CAM)技術によって作製されたカスタムアバットメントは,特に審美領域で患者固有の形態を作り出すことが可能であるため採用されることが多い1.さらに,以前の研究では,粘膜貫通部において,適切なカントゥアを有するアバットメントが良好な軟組織の安定性を提供し,その後辺縁骨レベルを維持することが示されている2, 3. 現在,多くのインプラントメーカーは,チタン,チタン合金,ジルコニア,および金合金等の異なるタイプのCAD/CAMアバットメントを提供している.カスタムされた内部接続アバットの適合性を評価する以前の研究では,材料の違いが適合に有意な差異を生じなかったことを証明し,さまざまな材料が,形態の点で同じ品質を提供することが示唆された4.しかし,いくつかの報告では,金合金は生体適合性の点から他の材料と安定性に差異があることが示唆されている.あるin vivo研究は,金合金アバットメントの使用が,チタンまたはジルコニウムアバットメント5で観察されたものよりも大きな炎症反応をもたらしたことを示した.これらのin vivo研究の結果のとおり,いくつかのin vitro研究は,金合金の使用が細菌・プラークの蓄積を強く誘導することを示唆している6, 7.ジルコニアアバットメントに関しては,材料特性としてチタンインプラントに装着した際のアバットメントの破折・摩耗のリスクがある8, 9.

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