PRD 12月
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11Volume 22, Number 6, 2014Millerの分類Class Ⅳの歯肉退縮における根面被覆と臨床的アタッチメントレベル改善のためのコネクティブ・ティッシュ・ウォール・テクニックとエナメルマトリックスデリバティブの応用Giovanni Zucchelli, DDS, PhD1Claudio Mazzotti, DDS, MSc2Federico Tirone, DDS2Monica Mele, DDS, MSc2Pietro Bellone, DDS2Ilham Mounssif, DDS2Original Title:The Connective Tissue Graft Wall Technique and Enamel Matrix De-rivative to Improve Root Coverage and Clinical Attachment Levels in Miller Class IV Gingival Recession要約(Abstract) 本論文における症例報告は,Millerの分類Class Ⅳの歯肉退縮における根面被覆と臨床的アタッチメントレベル改善のための外科的アプローチについて報告する.歯間部に重度の硬組織および軟組織の喪失を伴う,上顎と下顎の側切歯の歯肉退縮の2症例に治療を行った.手術方法は,歯冠側移動するエンベロープフラップ下に結合組織移植片(CTG)を設置し,CTGがエナメルマトリックスデリバティブ(EMD)にて治療する骨欠損部頬側の軟組織の壁となるようにしたものである.口蓋側/舌側の歯肉弁は剥離しなかった.最初の症例は,歯の挺出および全体の審美性を改善するため,術後6ヵ月にセラミック・ベニア修復を行った.術後1年にて,両症例とも,臨床的に明らかな根面被覆,頬側の角化歯肉の幅と厚さの増加,歯間乳頭の位置の改善,クリニカルアタッチメントゲインが認められた.X線写真では,骨内欠損への骨形成がみられた.本報告は,Millerの分類Class Ⅳの歯肉退縮における根面被覆と再生のパラメータの両方を改善するためにCTGにEMDを加えた新しい方法を推奨するものである.(Int J Periodontics Restorative Dent 2014;34:601-609. doi: 10.11607/prd.1978)1Professor, Department of Biomedical and Neuroscience, Bologna University, Bologna, Italy.2Research Assistant, Department of Biomedical and Neuroscience, Bologna University, Bologna, Italy.Correspondence to: Prof Giovanni Zucchelli, Department of Biomedical and Neuroscience, Bologna University, Via S. Vitale 59, 40125 Bologna, Italy; fax: +39 051 225208; email: giovanni.zucchelli@unibo.it. 歯肉退縮は,辺縁歯肉がセメント‐エナメル境(以下CEJ)より根尖側に移動し1,歯根面が口腔内環境に露出している状態と定義されている.歯肉退縮の治療にはさまざまな手術方法が報告されているものの,システマティックレビューでは,完全な根面被覆を得るためのゴールドスタンダードはバイラミナテクニックであるとされている2-4.患者の全身的,局所的因子など,根面被覆の程度に影響を与える多くの因子が存在するが,もっとも重要な因子は歯間部の歯周組織の状態であろう5, 6. 歯肉退縮は,根面被覆の予知性を基に四つのカテゴリーに分類されている5.Millerの分類ClassⅠとⅡでは,歯間部の歯周組織の付着喪失はなく,完全な根面被覆が予知性をもって得られる.治療の予知性については,システマティックレビューに詳しく記されている2-4.Millerの分類Class Ⅲでは,歯間部の歯周組織に軽度から中等度の喪失が認められ,部分的には根面被覆が得られる.最近のランダム化比較対照試験では,歯間部のクリニカルア

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