QDI 1月
8/8

3億年前RASは海水ボンベ!図6-a〜d 現代人の生活習慣で高血圧の原因となっているレニン-アンギオテンシン‐アルドステロン系(a)。肝臓でアンギオテンシノーゲンという物質が作られ、腎臓からレニンというホルモンが分泌されてアンギオテンシンⅠになる。さらに肺で生成されるアンギオテンシン変換酵素でアンギオテンシンⅠがアンギオテンシンⅡになる。このアンギオテンシンⅡは副腎に作用してアルドステロンというホルモンを分泌させる。アルドステロンはさらに腎臓に作用してNaの再吸収を増加させ、血圧を上昇させる。さらにアンギオテンシンⅡは直接血管平滑筋に作用して血管を収縮させ、血圧を上昇させる(b)。これは、もともとは陸上に上がった動物が血圧を上昇させて維持するためのいわば海水ボンベのようなシステムであり(c)、高血圧になることは想定されていなかった。本来は、低い血圧を上昇させる海水ボンベがRA系なのである。ところが、現代では想定外の塩分摂取が可能となったため、RA系が邪魔者になっている(d)。cd陸に上がり、その後…図7 診療室血圧・家庭血圧に基づく血圧の分類(文献2より引用・改変)。このガイドラインを目標に血圧を改善していく。診察室だけでなく、朝、夕食前2回の家庭血圧を測定することが大切である。■ 診察室血圧に基づく血圧の分類■ 家庭血圧に基づく血圧の分類収縮期血圧収縮期血圧(日本高血圧学会)Ⅲ度高血圧Ⅱ度高血圧Ⅰ度高血圧正常高値血圧正常血圧至適血圧正常降圧治療の対象180160140130120(mmHg)(mmHg)(mmHg)拡張期血圧拡張期血圧8085901001108085135125レニン‐アンギオテンシン‐アルドステロン系アンギオテンシノーゲンアンギオテンシンⅠアンギオテンシンⅡ血管平滑筋収縮アルドステロン分泌腎臓でNa再吸収血圧上昇腎臓肺肝臓レニンアンギオテンシン変換酵素(ACE)ab水分再吸収循環血液量減少循環血液量増加血圧上昇体液量増加アルドステロンバンプレシン抗利尿作用血管収縮・血圧上昇アンギオテンシノーゲンアンギオテンシンⅠアンギオテンシンⅡ脱水出血血圧低下レニン副腎尿管ACENa+再吸収(1)生活習慣の改善 減量や減塩、さらに喫煙や飲酒の是正や高脂血症の治療などである。軽症高血圧ならば、薬物療法の前に栄養指導と運動療法などからスタートする。詳しくは成書を参照されたい。(2)薬物療法 RA系の抑制を中心としていくつかの種類があるが、ある程度動脈硬化が進行した場合は数種類を組み合わせ、効率的にRA 系を抑制すると同時に、副作用発現のリスクを分散させるのが一般的である。(mmHg)インプラントのための内科学 ─医師に喜ばれる紹介状の書き方から─Learn The Basics of Implant インプラントのための内科学─医師に喜ばれる紹介状の書き方から─121─Vol.21,No.1,2014121

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です