QDI 11月
8/8

Learn The Basics of ImplantLearn The Basics of Implant【事例A】 虫歯治療のために局所麻酔剤を投与後に死亡→経過観察義務違反を認める〔さいたま地裁平成22年12月6日判決(平成18年(ワ)第987号)〕実際の賠償額原告からの損害賠償請求額原告の主張判決の概要裁判所の判断臨床的ポイント法律的ポイント法律的ポイント①�D(死亡した女児)は、呼吸困難により泣いて暴れていたのがその後急におとなしくなったこと、Dの異常発見後、Dが救命処置にまったく反応しなかったことからすれば、その時点でアナフィラキシーショックを発症しており、それから被告が治療を中断するまでの約20分もの間、意識消失の状態にあったことは明らかである。被告はこの間、アナフィラキシーショックの初期症状を看過したのである。②�仮に、被告の過失とDの死亡との間に因果関係が認められないとしても、上記の事情に加えてアナフィラキシーショックが生じた場合に、早期の対処により多くの事例において患者の救命がなされていることなどからすれば、本件では、適切な医療が行われていたならばDがその死亡時においてなお生存していた相当程度の可能性は、十分に認められる。3,918万5,537円(原告の父母に対してそれぞれ)(+遅延損害金・訴訟費用)原告らの請求は、それぞれ不法行為に基づく損害賠償金220万円、およびこれに対するDの死亡した日である平成14年6月15日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるとして、原告らの請求を上記の限度で認容した。①�女児の虫歯の治療で局所麻酔(オーラ注)をしたところ、15分以内に急性アレルギー反応を呈し発症から約64分後に死亡したが、当該麻酔をしたのであればアナフィラキシーショックの発症、進行が急激であることは医学的知見である。②�女児のアナフィラキシーショックと死亡との因果関係は否定できるものの、歯科医師が当該知見に基づき薬剤投与後バイタルサイン(意識・呼吸・循環)の経過観察を尽くしていれば女児の生存可能性があったと認定でき、当該経過観察を怠った責任は免れない。220万円(原告の父母に対してそれぞれ)(+遅延損害金)・�慰謝料額:200万円。女児は本件当時わずか4歳であり、その生存可能性を侵害されたことによる精神的苦痛は察するに余りあるが、被告がDのバイタルサインにまったく配慮していなかったとはいえないこと、女児のアナフィラキシーショックは重篤であり、被告が注意義務を尽くしていたとしても救命可能性の程度は必ずしも高かったとはいえないこと、また、仮に救命が可能であったとしても女児の完全な回復は望めなかったことなど、一切の事情を斟酌すると、慰謝料額はこの金額とするのが相当である。・弁護士費用:20万円110Quintessence DENTAL Implantology─982

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です