QDI 2017年3号
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 歯周疾患既往患者おけるインプラント治療に関する研究リーダーの1人であるHeitz-Mayeld の2009年のレビュー1)によると、歯周疾患の既往は十分にエビデンスがあるインプラント周囲疾患のリスクインディケーターとして挙げられている。また、Monjeらのメタ分析された2014年のシステマティックレビュー2)によると、歯周疾患の既往はインプラントの長期生存におけるリスク因子であると報告されている。しかし、歯周疾患の既往患者におけるインプラント治療は禁忌ではない。インプラント治療前後において歯周炎の炎症が十分にコントロールされていれば、歯周炎でない患者に対するインプラント治療と同等の良好な臨床結果を得られることがわかっている3)。 では、歯周炎に対してより感受性の強い「侵襲性歯周炎患者」に対するインプラント治療はどうだろうか。特に、広汎型侵襲性歯周炎患者の場合、初診時の段階で多くの歯が保存困難であることも少なくない。また、患者の年齢も比較的若く、インプラント治療による固定性補綴物を希望されるケースも多い。 侵襲性歯周炎の存在比率は数%と少ないことから、そのインプラント治療に対する報告が少ないことは容易に予測がつくが、現在までに発表された入手可能な報告を基に、広汎型侵襲性歯周炎患者に対するインプラント治療に関して考察を加えてみたい。侵襲性歯周炎は、進行範囲により限局型と広汎型に分けられるが、侵襲性歯周炎に対するインプラント治療の報告は広汎型がほとんどであるため、本稿では広汎型侵襲性歯周炎に限定して報告する。はじめに文献レビュー310395 ─Vol.24, No.3, 2017

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