QDI 2017年4号
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特集3図1 アバットメントの各接合様式。エクスターナルバットジョイント(EBJ)、インターナルバットジョイント(IBJ)、インターナルテーパージョイント(ITJ)。 近年、インプラントを長期維持するための外科的・補綴的術式が確立されつつある。オッセオインテグレーションの長期維持にはインプラント周囲組織の温存が必要であり、それにかかわる因子として、外科的にはインプラントポジショニング、手術時に確保すべきインプラント周囲の硬・軟組織量、適切なインプラント径の選択など、補綴的にはインプラント‐アバットメント(I/A)接合様式の選択、適切なエマージェンスプロファイルの付与などが挙げられる。 また、その他の因子として、インプラントレベルでの補綴装置着脱(ヒーリングアバットメント含む)が、インプラント周囲組織に対しネガティブな影響を与えるとの報告がされている。1997年には、Abrahamssonら1)によってアバットメントの5回の着脱によりインプラント周囲組織の減少が起こることが報告された。以降、インプラントレベルでの補綴装置着脱がインプラント周囲組織へ影響を与えることが報告されてきた。 そして2010年、Canulloら2)によってOne abutment-one time conceptが提唱された。このコンセプトは、インプラント埋入手術時、もしくは二次手術時に最終アバットメントを装着し、以降の処置はすべてアバットメントレベルで行うことでインプラント周囲組織の温存を期待する方法である。今回はこのコンセプトの有用性について考察する。 なお、アバットメント接合様式についてはメーカーによりさまざまな呼称があり混乱をまねくため、本稿では表記を以下にて統一する(図1)。▼エクスターナルバットジョイント(EBJ)▼インターナルバットジョイント(IBJ)▼インターナルテーパージョイント(ITJ)はじめにアバットメントアバットメントスクリューインプラントインプラントITJIBJEBJITJIBJEBJアバットメントスクリュー渡辺多恵1(Tae Watanabe)/下尾嘉昭2(Yoshiaki Simoo)1東京都勤務:MALO CLINIC TOKYO/2東京都開業:MALO CLINIC TOKYOアバットメントの着脱回数が周囲組織に  ―新たな概念“One abutment-one time concept”とは―アバットメントの着脱回数が周囲組織に  ―新たな概念“One abutment-one time concept”とは―60Quintessence DENTAL Implantology─ 0604

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