QDI 2018年4号
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 いつも疑問に感じていることがある。はたして本当に下顎7番にインプラントは必要なのか。また、必要であっても正確・安全に埋入できるのか。さらに、埋入できたとしてもメインテナンスは十分に行えるのか。一見簡単そうな単独インプラント埋入であるが、下顎7番には他の部位にはない考え方や技術が必要であり、多くの問題をはらんでいる。 7番の頬舌的な骨幅は6番と比較すると狭く、解剖学的形態はシビアである。そのうえ付着歯肉も少ない。これは臼後三角の解剖学的形態からも理解できるだろう。さらに問題と まずは一般的な診査・診断について解説する。言うまでもないが、診査・診断は部位にかかわらず基本であり、治療全体の成否を決めるほど重要である。また、診断を行うにあたっては、その歯を失った原因が何であるかに目を向けることも大切である。たとえば、清掃不良などはその原因を改善しない限り再度トラブルとなり、インプラントまでも失うことになるのは、開口量である。サージカルガイドを使った埋入は可能であろうか。 本稿では、まず臼歯部における診査・診断から治療計画について述べ、続いて下顎7番部埋入の部位特異性について解説する。骨、歯肉、開口量、そして正確なピンポイント埋入、これらをキーワードとして下顎7番単独埋入の治療戦略を提示しつつ、最後に補綴形態と咬合調整、メインテナンスについても言及したい。なりかねない。 筆者はルーティンとして、オクタゴン診断(図1)を使い、全身疾患、口腔内疾患、埋入部位の診断(今回は下顎7番部)をそれぞれ行い最終的に総合診断している。下顎7番部に的を絞った診断については表1を参照されたい。図1 筆者が開発したオクタゴンガイドラインの画面。表示内容に沿って入力することで項目をもらさずに診断ができる。部位に関連しない共通診断と埋入部位に限局したリスク診断を行う。これにより最終的に総合診断の結果が導き出される。はじめにインプラント治療におけるオクタゴン診断39ガイドを用いた下顎7番のインプラント埋入は可能か?0539 ─Vol.25, No.4, 2018

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