QDI 2019年2号
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 上記調査でのインプラント手術関連トラブル360件では、上顎洞炎が20.3%(73件)、上顎洞内インプラント迷入が18.6%(67件)と、上顎洞関連が全体の38.9%(140件)を占めもっとも多かった。次いで、下歯槽神経損傷18.9%(68例)、オトガイ神経損傷9.2%(33例)、舌神経損傷1.7%(6例)と神経損傷が合計29.7%(107例)であった(図1、2)。 2017年、公益社団法人日本顎顔面インプラント学会誌において「インプラント手術関連の重篤な医療トラブルについて」と題した報告が行われた1)。2012~2014年の3年間における日本顎顔面インプラント学会認定67施設(全認定施設の63.8%)における360件の医療トラブル報告について臨床統計がされている。 報告のほとんどは他院でのインプラントトラブル症例の後処置を認定施設が担当したものであったが、その医療トラブルの概要を改めて整理し把握するとともに、そのトラブルの30%を占める神経損傷に対して、一般臨床医が可能な予防処置や発生時の初期対応についてまとめていきたい。上顎洞炎下歯槽神経損傷上顎洞内インプラント埋入心身医学的障害オトガイ神経損傷インプラントの骨外穿孔異常出血(局所的原因)顎骨壊死隣在歯の損傷舌神経損傷術後蜂窩織炎異常出血(全身的原因)誤飲・誤嚥(手術中)01020304050607080(件数)73件73件68件67件45件45件33件33件11件11件9件9件9件9件7件7件6件5件5件3件3件3件3件6件68件67件 図1 「インプラント手術関連の重篤な医療トラブル」発生件数(2012年1月~2014年12月)。● 上顎洞関連● 神経損傷● その他39%30%31%n=360113件107件140件 図2 おもなトラブルの割合。はじめにインプラント手術関連トラブルで多いのは?230187 ─Vol.26, No.2, 2019インプラント手術における神経損傷の予防と対応 ー安心・安全なインプラント治療を行うためにー

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