QDI 2019年2号
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 インプラント治療においては、患者として高齢者を診ることが多くある。高齢者は生体の老化のため、口腔機能の低下や全身疾患を有する率が高く、外科手技をともなうインプラント治療のリスクファクターであるかのように考えられてきた。本当にそれが正しいのかを最新の文献をもとに検証し、さらに高齢者のインプラント治療における外科・補綴的な注意点を木津康博氏に論じてもらった。(編集部) ―生体の変化に対する外科・補綴的対応― 高齢患者は 歯科インプラント治療における⃝木津歯科 オーラル&マキシロ フェイシャル ケアクリニック横浜⃝東京歯科大学オーラルメディシン・ 口腔外科学講座/口腔インプラント学講座木津康博Yasuhiro Kizu リスクファクターか? 世界の中でも最高水準の高齢社会である日本にとって、国民の口腔機能の維持は、健康への影響も考慮され、重要事項となっている。そして、歯科インプラントは臨床応用されてから54年が経過し、良好な予後が獲得される欠損歯補綴治療として国民に周知されてきた。そのため、現在われわれ歯科医師は、インプラント治療の患者として多くの高齢者を診る。高齢患者は若い頃と比較すると生体の老化が進み、とくに口腔機能の老化は歯科治療において問題となることが多い。また、高齢期以前にインプラント治療を行った患者も、いずれ高齢になる。 そこで、本稿では、インプラント治療において高齢患者はリスクファクターかどうかを検討したい。そして、高齢患者のインプラント治療における、外科的・補綴的対応について考えていく。はじめに38Quintessence DENTAL Implantology─ 0202特集2

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