QDI 2019年3号
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ろ、当然のこととして10年以上に集中した。創立20周年の時のアンケート調査には、3年、5年、10年、15年、20年以上の回答を設定したところ、20年以上に集中した。2015年に30周年の記念研究として同じ質問を考えたが、「30年以上、生涯もつ」の回答に集中することが予想され、この質問は設定しなかった。インプラント治療が普及して間もない頃は10年、20年と考えられていたものが、最近では20年以上、30年以上、あるいは生涯もつことが要求されているのであろう1〜3)。 そこで、本稿では筆者の30年に及ぶ長期症例を報告する。初期の未熟な症例ではあるが、読者の参考になれば幸いである。はじめに 医療面接の際に患者から「インプラントは何年もちますか?」と質問されることは少なくない。術者としても、患者背景、症例のリスク、自らの技術レベルなどを考えて、「何年もたせられるか」と自問自答することも多い。 私の所属する九州インプラント研究会(KIRG;1985年に故・添島義和先生創立、会員31名、研修修了会員364名、現会長は筆者)は、創立から10年ごとに臨床疫学研究を発表してきたが、10周年の時に患者アンケートで「何年もてば満足しますか?」の回答として3年、5年、10年以上を設定したとこ長期インプラント症例を再評価するエイジングにともない手術や内服薬が増えた患者の30年のインプラント治療の長期予後伊東隆利(Takatoshi Itoh)熊本県開業:伊東歯科口腔病院─30年の経過─1989年(41歳)初診時1990年(42歳)メインテナンス開始時2019年(71歳) 30年目のメインテナンス時810401 ─Vol.26, No.3, 2019

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