QDI 2019年4号
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インプラント治療のDecision making インプラント治療は、外科的侵襲による腫脹や疼痛、外科処置回数の増加、長期の治療期間などの問題点を有する。それらの問題点を改善するために、基本的には、抜歯即時埋入を中心に、なるべく骨移植やメンブレンを使用せず、既存骨内のインプラント治療を目指し、治療期間中のQOLの低下を防ぐために、即時にプロビジョナルレストレーション(以下、PVR)を装着して、治療期間の短縮を図り良好な結果を得ている。そのためには、インプラントの選択と埋入位置と方向、初期固定、縁下形態が重要となる。 これからのインプラント治療は、高い予知性、侵襲の少ない外科処置、低リスク、効果的な時間とコスト、容易な再介入処置が基本となると考えている。はじめに インプラント治療は、高い審美性と機能回復を達成でき、隣在歯の切削が不要で、長期の良好な予後と高い患者満足度が望める反面、現状では不良な埋入位置、方向によって審美的・機能的に予後に問題を抱えるインプラント治療も少なくない。 本稿では、審美領域での多数歯抜歯即時埋入の長期経過症例(症例1)とインプラントの埋入位置に問題(審美的、機能的、清掃性)があったインプラントを撤去し、再埋入によってリカバリーした症例(参考症例1、2)を供覧し、低侵襲で少ない外科処置回数、患者のQOLの低下を防ぎながら治療期間の短縮を図った、患者に寄り添うインプラント治療の実際について報告する。長期インプラント症例を再評価する埋入位置不良インプラントの撤去、即時埋入によるリカバリー症例の検討─患者に寄り添うインプラント治療を求めて─林 揚春(Yoshiharu Hayashi)東京都開業:優ビル歯科医院2006年(29歳)初診2006年(29歳)最終補綴装置装着2012年(35歳)術後6年経過時2014年(37歳)術後8年経過時2018年(41歳)術後12年経過時─症例1:審美領域での多数歯抜歯即時埋入の12年の経過─830571 ─Vol.26, No.4, 2019

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