QDI 2019年6号
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連のトラブルが増加していることは周知の事実である7)。そのトラブルの原因の一つとして、術者が手術の難易度を把握できず、かつ十分な診断能力と手術手技を習得しないままに手術を行うことがある。 本稿では、最初に基本に則りサイナスリフトを行い、術後23年にわたって問題なく経過した症例を供覧する。その後、筆者が経験したサイナスリフトのトラブル例を供覧し、その対応法を述べる。さらに筆者の約30年に及ぶサイナスリフトの経験から、筆者によるサイナスリフトの難易度分類を紹介するとともに、トラブルを防ぎサイナスリフトを成功させるためのポイントを解説する。はじめに サイナスリフトに関して、1980年から今日まで数多くの論文が報告されている1〜3)。これらの論文の多くは、サイナスリフト部に埋入されたインプラントの残存率は高く、インプラント治療のための骨増生法として予知性の高い手法の一つであると述べている。また、AOコンセンサス会議4、5)やITIコンセンサス会議6)においても、サイナスリフトは上顎臼歯部の骨増生を目的とした予知性のある効果的な治療法であること、増生部位のインプラント残存率は既存骨に埋入したインプラント残存率と同等であることなどが報告されている。 しかしながら、サイナスリフトの普及にともない上顎洞関長期インプラント症例を再評価するトラブルを防ぎサイナスリフトを成功させるためのポイント菅井敏郎(Toshiro Sugai)東京都開業:銀座UCデンタルインプラントセンター1996年28歳初診1998年30歳サイナスリフト後1年6ヵ月2006年38歳サイナスリフト後10年2019年51歳サイナスリフト後23年─23年の経過─90Quintessence DENTAL Implantology─ 0918

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