QDI 2020年1号
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医療行為の結果が患者に害を及ぼすことを「医原性疾患」と呼び、その害は施術後速やかに発現するものもあれば数年から十数年後に判明するものまでさまざまである。インプラント治療においては、インプラント周囲炎に代表される多くの問題点が明らかになってきた。近年のインプラント治療はいろいろな点において「少し急ぎすぎた」のではないだろうか。 筆者は歯周病専門医という立場から、インプラント‐アバットメントが口腔粘膜を貫通し口腔内に露出する領域に、天然歯同様の関心を持ち続けてきた。もしも天然歯における歯周炎と類似したメカニズムでインプラント周囲炎が発病するのであれば、この領域の生物学的な安定はインプラント周囲炎の防止に貢献できるのではないかという論理の展開である。この考えを臨床に反映する手法の1つに「プラットフォームスイッチング」がある。 本特集では、ひとりの患者の約15年間にわたる経過をもとに、プラットフォームスイッチング型インプラントの長期的な予後から、患者の人生主導型インプラント治療の実践について考察してみたい。SPT移行再度SPT移行112再生療法2部分矯正2上部構造装着112クラウン装着天然歯、インプラントともに良好に推移している2インプラント埋入+GBR6インプラント埋入+GBR再介入64抜歯4インプラント埋入765ブリッジ装着4上部構造装着2006年12月(34歳)2017年3月(45歳)2017年10月(45歳)2017年11月(45歳)2018年3月(46歳)2019年6月(47歳)2008年2月(36歳)2016年9月(44歳)674Dホール午前10/18(日)講演者論文350035 ─Vol.27, No.1, 2020

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