QDI 2020年3月号
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山口文誉※1 (Fumiyo Yamaguchi)髙橋雅仁※1 (Masahito Takahashi)土屋雅一※2 (Masakazu Tsuchiya)※1 山口歯科医院※2 株式会社クレストデンタルアート患者矯正における  埋入ポジションの決定― 重度歯周炎患者では、歯の欠損や病的移動を含む歯列不正などにより咬合崩壊を起こしているケースが散見され、治療計画を立案するうえで矯正治療が必要になることが多い。その際、問題となるのが「強固な固定源と咬合支持の不足」である。 強固な固定源を得るためには、暫間固定装置(テンポラリーアンカレッジデバイス:TADS)と呼ばれるインプラントアンカーの使用が有効であるが、咬合支持が得にくく矯正治療中に脱落してしまう可能性もある。一方、歯科用インプラント(補綴用インプラント)はこれらの問題を克服できるが、矯正終了後を想定した位置にインプラントを埋入する必要があり、埋入ポジションの決定には慎重を期さなければならない。 矯正治療前のインプラントポジションの決定方法について、これまでさまざまな工夫のもと試行錯誤されてきたが、近年のデジタルテクノロジーの発展にともないその工程はよりシンプルとなり、正確性も増してきている。しかし、現時点におけるデジタルの限界および問題点も存在することから、これらについて理解しておく必要がある。 本稿では、重度歯周炎患者におけるインプラント矯正をテーマに、デジタルを応用した矯正治療前のインプラントポジションの決定について、文献レビューおよび実際の症例を用いて解説していきたい。はじめに1Aホール午後10/18(日)講演者論文310203 ─Vol.27, No.2, 2020

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