QDI 2020年3月号
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な足場となり骨再生が起こるが、水平・垂直的に骨再生をさせたいような条件の悪い部位では、積極的に「骨伝導」を導くHA系の骨補填材や「骨形成能」、「骨誘導能」、「骨伝導能」を有する自家骨を骨再生の足場として用いる必要がある16〜18)。 GBRでは、以上3点の基本ポイントをおさえたうえで、骨欠損部位の状態やその治療目標によって材料と方法を選択していくことが必要である。AdvanceGBRの難度 骨欠損部の状態からGBRの難度を考えると、内側性の骨欠損→水平的な骨欠損→垂直的骨欠損の順に高くなる19、20)。 内側性骨欠損の骨増生では、母床骨の骨壁、軟組織の厚さなどによって、骨補填材・メンブレンの使用や減張切開も不要な場合もある。これらは、欠損形態や患者の状態、治療目標などによって施術者の判断に委ねられる。 水平的骨増生では、母床骨と骨増生したい骨の割合を見る必要があり、母床骨の割合が少なくなればなるほどGBRの難度は格段に高くなっていく。増生量が多い水平的骨増生においては、Urbanが提唱するソーセージテクニック21)を元に筆者が改変した術式を常用している。しかし、審美領域においては、より予知性の高い骨増生量と骨形態が望まれるので、筆者は外側に自家骨ブロックを設置し、その形態を形作る方法を行っている(図1)。 垂直的骨増生は、もっとも難度が高い。末端方向への組織の再生になるため、いかにその部位まで血管の新生を促すことができるかがポイントとなる。この場合もUrbanらの報告22)のように、足場には自家骨:骨補填材=1:1の移植材を用いる方法が良いと筆者は考えている。 また、Urbanはバリアとして非吸収性メンブレンの使用を推奨しているが、症例によってはチタンメッシュ+吸収性メンブレンや吸収の遅いタイプの吸収性メンブレンで行われる場合もある。いずれにしても再生量が多くなればなるほど軟組織の取り扱いを丁寧に行うことが重要であり、減張切開、縫合が成功の鍵となる。図1-a 術前のCT3D画像。水平的および垂直的に歯槽骨の欠損が認められる。図1-b 基底部まで粘膜剥離を行い、軟組織の除去後、骨面の掻爬を丁寧に行う。図1-c 下顎枝より採取した自家骨を薄くして、骨欠損部の外側の形態に合うようにトリミングして固定する。図1-d タックピンで舌側にメンブレンを固定して、粉砕した自家骨と骨補填材(se-rabone、Botiss社)を1:1で混和して填塞。図1-e 骨移植材をメンブレンで包み、唇側にタックピンで動かないように固定する。図1-f 術後のCT3D画像。自家骨ブロックで周囲骨と連続性を持った理想的な形態になっている。審美領域の水平垂直的GBRインプラント治療のための 骨増生テクニック米国歯周病専門医が教える インプラント基礎講座1歯欠損から始める安心・安全なインプラント治療1130285 ─Vol.27, No.2, 2020

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