QDI 2020年3号
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 Basicはじめに 連載第1回ではインプラントの成功の定義、第2回では治療計画の立て方を解説した。第3回ではいよいよインプラント手術手技について述べたい。 本稿では、筆者がインプラント埋入の経験がない大学院1年生を教えるなかで、特に初心者にとって大事だと思う点を「15の原則」としてまとめた。インプラント治療の経験値がついていくにつれて自分の中でのやり方や好みなどが出てくると思うが、まずはこの原則を守ることから始めてもらいたい。Basicインプラント手術の15原則原則1:術前診査を十分に行う 第2回でも述べたが、歯肉にメスを入れる前の準備がもっとも重要である。インプラント埋入位置、骨増生の有無、解剖学的に気をつけなければならないランドマークの有無、等々である。それによって切開線の設定が異なってくる。麻酔をしてから切開線の設定に迷っていると、術者本人がつねに疑心暗鬼となって快適に手術を行えないし、手術時間も伸びてしまう。原則2:術前からアシスタントと連携する 術前に自分が埋入をしたいインプラントの位置や角度のイメージをアシスタントと共有しておき、手術中に適宜アドバイスを求める。術者の視野だけでは、近遠心、頬舌側のすべてのアングルを同時に確認するのは難しい。そこでアシスタントに別アングルからのアドバイスを適宜もらい、視野を補うのである。また、どのような術中写真を撮りたいか共有しておくことも重要である。術前の打ち合わせによって、忙しい術中でも撮影がスムーズに進む。原則3:よく切れる手術器具を使用する つねに鋭利なメスや骨膜剥離子を使用する。メスで切開を入れた後は、オーバンナイフ(図1)で同じ切開線をもう一度なぞり、しっかりと骨まで切れているかを確認する。オーバンナイフはアングルがついているので、メスで届き難かった箇所にもアクセスが容易である。すべての切開がしっかりと骨まで達していれば、フラップを起こす際に無駄なテンションが掛からず、剥離をスムーズに行える。縫合の際、できるだけフラップの端と端が揃うように、フラップの創縁が綺麗に保たれるように気を付ける。原則4:やや口蓋/舌側寄りに切開線を引く 顎堤の切開線はやや口蓋/舌側に設定する(図2)。その米国歯周病専門医が教える インプラント基礎講座3限目田中 毅 Tsuyoshi Tanaka米国ボード認定歯周病専門医フロリダ大学歯周病学講座 アシスタントプロフェッサー歯学部歯周病学プログラム ディレクター94Quintessence DENTAL Implantology─ 0434

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