QDI 2020年4号
2/8

 近年、インプラント治療に関するさまざまな研究がなされ、顎関節や残存歯を咬合力から守ることや咀嚼機能の改善という観点から信頼できる治療法として認識されている。しかし、インプラント治療は再介入が非常に困難であることを忘れてはならない。私たち歯科医師は患者の将来を考えて、インプラント治療を行う際には歯列を整え、機能的・審美的にメインテナンスしやすい環境を整備したうえで、再介入の行いやすい補綴主導で計画したポジションに埋入しなければならない。 さらに、2000年頃よりインプラント治療をいかに短期間で審美的に仕上げるかをテーマとした議論がなされている。そのひとつに「抜歯後即時埋入」の術式が挙げられる。武田、林らは、抜歯後即時埋入の最大のメリットは治療期間の短縮や低侵襲であることのみならず、骨のリモデリング能力の高い時期に顎堤をできるだけ保存し、インプラントポジションをコントロールして侵襲を与える回数を減らせることで、より審美的な結果が得やすいと提唱している1)。 一方で、抜歯して即座にインプラントを埋入するため、治療後の結果を予測しづらいという欠点がある。そのため、抜歯後の骨や軟組織の形態変化を症例に応じて推測することと、骨の吸収を可能な限り抑えることが成功の鍵と言えるだろう。 今回、さまざまな研究論文や筆者自身の治療結果の考察から、抜歯後即時埋入のストラテジー(治療戦略)について報告したい。はじめに210525 ─Vol.27, No.4, 2020

元のページ  ../index.html#2

このブックを見る