QDI 2020年4号
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COVID-19緊急企画黒嶋伸一郎長崎大学生命医科学域(歯学系)口腔インプラント学分野Shinichiro Kuroshima黒江敏史山形県開業:黒江歯科医院Toshifumi Kuroe宮本郁也岩手医科大学歯学部口腔顎顔面再建学講座口腔外科学分野Ikuya Miyamoto各国とわが国の現状における対応や提言についてはじめに 2020年1月中旬、日本で初の新型コロナウイルス陽性患者が発生(疾患はCOVID-19とよぶ)したが、わずか3ヵ月で感染者数は15,000名を超えた。最近では緊急事態宣言による外出制限効果が全国で認められ、5月25日には全都道府県で宣言が解除され現在に至っている。しかしこのことはウイルスの消滅を意味しておらず、未知の感染症であるために有効な治療法と予防法は依然として存在しないことから、私達には新しい環境に対する適応が求められている。COVID-19の感染経路は接触感染・飛沫感染・エアロゾル感染が基本とされており(図1)、歯科医療従事者は、たとえ緊急事態宣言が解除されていてもワクチンや確定的な治療法が確立するまでは従来のスタンダードプリコーションに加えて、感染経路予防策を講じる必要がある。 そこで本緊急企画は、海外のCOVID-19に対する歯科の現状と、国内の学会で紹介された注意喚起について整理し、現段階では今後も共存が必要なCOVID-19にどのような防護策が必要かを考えてみたい。また、厚生労働省が医療機関向けに発信している、歯科治療に関連するQ&Aを解説する。 なお、記載内容に私見はなく、6月1日時点までに得られた情報をまとめているため、今後は短期間で本内容が更新・変更・訂正されることに留意されて読み進めていただきたい。エアロゾル感染気体中の微粒子が病原性微生物を含み、それを吸入して感染する(統一の定義はない)飛沫感染直径5μmより大きい飛沫粒子で空中を浮遊せず、短い距離を飛び、床に落下する接触感染手や皮膚の接触による直接接触感染と、汚染媒介物の接触による間接接触感染があるエアロゾル感染飛沫感染接触感染すぐ落ちるしばらく漂う感受性宿主感染経路感染源図1 新型コロナウイルスの感染経路には、エアロゾル感染、飛沫感染、接触感染があると考えられている。110515 ─Vol.27, No.4, 2020

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