Quintessence DENTAL Implantology2021年No.1
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Basicはじめに インプラント外科手術の技術を高めようとするならば、埋入術式やさまざまな骨増生法、軟組織移植などを習得しなければならない。しかしながら、たとえ実際にそれらの方法を知識として学んだとしても、外科の基本手技である「麻酔・切開・剥離・縫合」の技術がともなわなければ、インプラント外科手術を成功へ導くことはできない。 本連載では、筆者が日常的にインプラント外科手術を行ってゆくために有効であると考え、実践している「麻酔・切開・剥離・縫合」の基本手技について特化し、解説してゆく。・インプラント治療を始めたいが基本外科手技に自信がない・インプラント外科手術の技法のステップアップを図りたい・筆者が日常的にどのような基本外科手技を行っているのか参考にしたいなどの声に応える、明日の臨床にすぐに活かせる内容となることを願う。Basic局所麻酔の打ち方(1)患者の手術当日の心境を想像すべし たとえば、患者に対して3本の局所麻酔を施して2本の歯を抜くのと、同じ3本の局所麻酔を施して1本のインプラントを埋入するのと、患者の術前バイタルにどれだけの影響の違いがあるのだろうか? 抜歯とインプラント埋入手術では外科的に大きな違いがあるのは当然だが、3本の局所麻酔を患者に与えるという点においてその影響は同じはずである。しかし、患者の立場からすると、抜歯は所有するものを取り除かれる外科手術、インプラントは未知なるものを植え込まれる外科手術という認識である。その認識が患者心理に与える影響は大きく異なり、インプラント手術は抜歯と比較して手術への不安と緊張感がより増大するのである。また、術者である歯科医師がインプラント手術に対して不安を抱えた状態であれば、その不安と緊張感は自ずと患者に伝わる。つまり、手術に先立って行う局所麻酔はその打ち方や麻酔量だけでなく、手術の種類や術者の状態さえも患者の術前心理に大きく影響を与え、当然バイタルにも影響する(図1)。 患者の不安と緊張感を事前に少しでも取り除いておくためには、手術当日を迎える前に、入念な検査・診断を行い、口腔内写真やX線画像、CT画像、シミュレーションソフトなどを用いて手術の方法・時間、術後の注意事項、起こりうる合併症などについて十分に説明しておくことが基本中の基本高橋恭久 Yukihisa Takahashi東京都開業:医療法人慈世会 高橋スマイル歯科一ノ塾 塾長局所麻酔の打ち方・切開の入れ方Dr. 高橋恭久の インプラント外科道場本連載のラインアップ(予定)第1回第1回 局所麻酔の打ち方・切開の入れ方第2回 切開法とフラップデザイン第3回 1回法と2回法の使い分け・ドリリング第4回 インプラント埋入①臼歯部第5回 インプラント埋入②前歯部第6回 縫合スマホで動画を見よう(p.9参照)Movie98Quintessence DENTAL Implantology─ 0098

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