Quintessence DENTAL Implantology2021年No.2
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岩野 義弘東京都開業:岩野歯科クリニックYoshihiro Iwano 重度歯周病患者に対する、インプラント治療を前提とした治療計画立案に際して、大きな議論の的となるのは「どの歯を抜歯してインプラントを埋入するか」であろう。予後不確定歯を積極的に抜歯しインプラントとすることで予知性や力学的安定性を高める方法も、できるだけ多くの天然歯を残存させて欠損部を最小限のインプラントで補綴することも、将来性を吟味したうえで行う限りは、どちらが正しいとは言えない。筆者は歯周病専門医であり、より保存を好むため、後者を選択することが多い。 そこで本稿では保存的立場から、歯の保存にこだわったさまざまな症例を供覧し、関連するエビデンスも併せて、重度歯周病患者に対する治療戦略として、予後不確定歯に対する“抜歯か、保存か?”をいかにして決定するかについて考察してみたい。はじめに天然歯とインプラントとの大きな違い ─歯根膜の存在─16case骨縁下に及ぶ重度のう蝕歯を矯正的挺出と歯周外科手術により保存した15年経過症例case根尖に及ぶ垂直性骨吸収を有する樋状根歯を歯周組織再生療法にて保存した症例case垂直破折の生じた上顎第一小臼歯をルートセパレーションにして保存した症例天然歯を保存することの困難さ20case保存を試みたが、術後6年で抜歯に至った症例抜歯の診断基準22重度歯周病患者における治療戦略23caseクロスアーチの補綴装置により歯の保存と咬合の確立を図った広汎型重度慢性歯周炎症例case₁の戦略的抜歯後、上下フルアーチのインプラント補綴を行った広汎型侵襲性歯周炎症例case広汎型侵襲性歯周炎患者に対してフルアーチのインプラント補綴を行った14年経過症例重度歯周炎罹患歯に対する「抜歯か、保存か?」の比較エビデンス28case抜歯や削合を極力防いでインプラントを応用した広汎型侵襲性歯周炎症例①case抜歯や削合を極力防いでインプラントを応用した広汎型侵襲性歯周炎症例②本特集のまとめ45150179 ─Vol.28, No.2, 2021

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