長期インプラント症例を再評価する長期IOD症例からみた合併症への対応と設計吉松繁人 Shigeto Yoshimatsu福岡県開業：吉松歯科医院はじめに─IODの普及と設計の難しさ インプラントオーバーデンチャー（implant overdenture：IOD）が日常臨床に取り入れられるようになって久しい。McGillコンセンサス1）、Yorkコンセンサス2）で、下顎に2本のインプラントを埋入するIODは総義歯に比べ患者のQOL（quality of life、生活の質）を高めることが報告された。これらの報告の後、IOD治療や研究は飛躍的に増えた。超高齢社会の日本では、患者にとって経済的にも治療期間においても取り入れられやすいため非常に注目されている。実際、IOD装着後、患者の義歯に対する不満は劇的に改善し、咀嚼効率も上がり、患者のQOLの向上につながった症例は多い。 当院においてもバータイプ、マグネットタイプ、O-ringなどさまざまな手法のIODを取り入れてきたが、ロケーターアタッチメントが発売されてからはその簡便性からロケーターアタッチメントを第一選択としてきた。装着当初は患者の満足度も高く、補綴装置の作製過程も非常にシンプルであるため、安心して勧めることができるインプラント補綴であると認識していた4、5）。affected/Number placedMean incidenceOverdenture loss of retention／adjustment（オーバーデンチャーの維持の喪失）113/376prostheses30％Esthetic veneer fracture（resin）（レジンベニアの破折）144/663prostheses22％Overdenture relines（オーバーデンチャーのリライン）114/595prostheses19％Overdenture clip／attachment fracture（アタッチメント／クリップの破折）80/468prostheses17％Esthetic veneer fracture（porcelain）（ポーセレンベニアの破折）36/258prostheses14％Overdenture fracture（オーバーデンチャーの破損）69/570prostheses12％Opposing prosthesis fracture（対合補綴の破損）20/168prostheses12％Acrylic resin base fracture（アクリリックレジン床の破折）47/649prostheses7％Prosthesis screw loosening（補綴装置装着スクリューの緩み）312/4,501screws7％Abutment screw loosening（アバットメントスクリューの緩み）365/6,256screws6％Prosthesis screw fractures（補綴装置装着スクリューの破損）282/7,094screws4％Metal framework fractures（メタルフレームの破損）70/2,358prostheses3％Abutment screw fractures（アバットメントスクリューの破損）244/13,160screws2％Implant fractures（インプラント体の破折）142/12,157implants1％表1 Mechanical Implant com-plications（文献3より引用・改変）74Quintessence DENTAL Implantology─ 0238
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