Quintessence DENTAL Implantology 2022年No.1
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第1回アバットメントと上部構造の基本構造と特徴 インプラント治療は、すでに一般的な補綴修復治療の一手段となって久しく、卒後間もない歯科医師にとっても手の内に持つべき治療選択肢の1つである。ただしインプラント治療の適応には、適応前の「前処置」、綿密な「診断・治療計画」、正確な「外科処置」、適切な「補綴修復」、そして「メインテナンス」に至るまで、集学的な知識・技術が要求される1、2)。 現在、これらさまざまな治療ステップの習得には、卒前教育に加え、関連書籍やセミナーなどが大きな助けになる。また、最新技術に関する国内外の情報を入手することも容易で、インプラント治療に携わる多くの歯科医師が知識・技術のアップデートを行っている。筆者も15年ほどインプラント治療にかかわり、皆さんと同じように日々研鑽する毎日であるが、初学時の基本が非常に大切で、基本を理解しているからこそアップデートできるものであることを痛感している。 一方、これだけ情報があふれかえっている状況では、これからインプラント治療を取り入れようとする歯科医師は“最新技術”ばかりに目移りし、“基本技術”が疎かになりがちである。こと近年では、インプラント補綴修復の設計・製作においてデジタル技術やジルコニアに代表される修復材料の革新など目覚ましいものがあるが、機能的にも審美的にも良好な結果を得るためには、補綴修復に関する基礎的な知識が重要となる(図1)。 そのため本連載では、まさにこれからインプラント治療を取り入れる先生方向けに、インプラント補綴装置の設計・製作における考え方の基本の“き”を今一度、解説していく。・インプラントの選択 ・インプラントのポジション・外科術式・機能と審美性の確立/維持 ・トラブルへの対応図1 インプラントに関する補綴修復の知識(赤色部)は治療方針決定時から必要とされ、この時点で適切な補綴方法を選択することによって良好な結果が得られる(トップダウントリートメント)。104Quintessence DENTAL Implantology─ 0104Basic連載開始にあたって初学者のためのインプラント補綴設計 (形態、固定様式、材質、与える咬合など)補綴修復に関する知識は重要!口腔内検査診断治療方針の決定最終補綴装置のデザイン外科手術プロビジョナルレストレーション・機能と審美性の評価 ・軟組織のマネジメント最終補綴装置の装着前処置和田誠大 Masahiro Wada大阪大学大学院歯学研究科 有床義歯補綴学・高齢者歯科学分野大阪大学歯学部附属病院 口腔インプラントセンター

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