QDT 2014年6月
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はじめに 近年では日常生活にデジタル化という言葉が浸透して久しく、とくに新鮮なことではないようにも思える。デジタル技術はすでにさまざまなジャンルの垣根を取り払い、融合と新生の起点となっている。 その中でも、もっとも象徴的なのは携帯電話ではなかろうか。現在の携帯電話は、カメラ機能や情報収集機能、そして各種アプリケーションによるゲーム、さらにはインターネットバンキングによる銀行取引までも可能としており、もはや「電話」というカテゴリーには収まらない高機能情報端末となった。これはまさに、各分野のデジタル化が進んだがゆえに可能となった、各種サービスの融合と新生と考えられる。 その波は、当然歯科の各分野にも押し寄せている。今後、歯科医師をはじめとする歯科医療従事者は好むと好まざるにかかわらず、大なり小なりデジタル機器とかかわらなければならない状況となりつつある。すでに、保険診療における報酬の請求、すなわちレセプトの作成に関してはすでにオンライン化(=デジタル化)が進められており、請求者・監査者双方の時間的・肉体的負担が軽減され、ミスも少なくなっている。現在では多くの歯科医院にレセプトコンピューターが導入され、デジタル化が進んでいると推察される。 そして当然、臨床においてもデジタル化は世界的に推進されており、海外のデンタルショーへ赴くと歯科用CAD/CAMシステムをはじめとしたデジタル機器が百花繚乱の相を呈しているようである。同時に、歯科用コーンビームCT(Cone Beam Computed Tomography、以下、CBCT)の発展も著しく、国内でも各社から発売され一般開業医においても普及率の向上が認められる。 そこで本稿では、CAD/CAMシステムの進化と現況について概説した上で、従来は歯や粘膜の表面をスキャンしたサーフェスデータを基に補綴・修復物の製作を行ってきたCAD/CAMシステムに、CBCTの三次元ボリュームデータが融合することで得られるベネフィットについて示していきたい。

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