QDT9月
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河相安彦 Yasuhiko Kawai歯科医師・日本大学松戸歯学部 有床義歯補綴学講座千葉県松戸市栄町西2-870-1義歯安定剤の適材適所Feature Article #1―その臨床応用を考える(前編)― 歯科医師人生30年を迎える筆者が卒業した当時の補綴診療室には多くの無歯顎患者が来院され、総義歯または部分床義歯の症例が豊富であった。歯科医師が臨床経験を積むには格好の時代であった。当時の患者は、雑駁な言い方になるが「若い方」「元気な方」が多く、「高齢者」という概念で診療をしていた意識は少なかったように思う。 しかしながら、この30年間で歯科医療を取り巻く環境は大きく変化している。平成23年歯科疾患実態調査によると、75歳以上の年齢別無歯顎者率は、1981年に29%であったものが2011年には64%に増加する一方、64歳以下の無歯顎率は32%から6%へと激減しており、筆者の30年前の診療室での皮膚感覚を裏付ける変化である(図1)。そして今、この変化に呼応した義はじめに© Can Stock Photo Inc. / joebelanger

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