QDT9月
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113第4回(最終回) インプラント周囲組織への補綴的対応113 天然歯とインプラント補綴の間には、歯根膜の有無など、それらを取り巻く生物学的・構造力学的な背景に大きな違いが存在する。特にインプラント周囲組織は、コラーゲン繊維の走行もインプラントに対して平行で、血液供給量も乏しく、付着様式も弱いため、外的な要因(過度なプレッシャーやインプラント周囲炎など)を受けやすく、健康な歯肉状態を維持・安定させ1.生物学的調和ることは困難な作業となっている(図1、表1)。また、インプラント補綴においても周囲組織の厚みを確保することは重要で、外科的な配慮に加え、補綴的な配慮が欠かせない(図2、3)。インプラント補綴において生物学的な調和を図るためには、まずは天然歯との違いを理解することが重要で、根拠ある対応を示すことによって予後の経過も大きく左右されると考えられる。図1a、b 天然歯とインプラントの生物学的背景の違い。コラーゲン繊維の走行や血液供給量に違いがみられ、天然歯とは大きく異なる様子がみてとれる。また、インプラント周囲粘膜は付着状態も弱く自己防衛機能が非常に低いため、軟組織のマネージメントも天然歯以上に慎重な対応が求められる(参考文献2を引用して作成)。天然歯インプラント歯根膜ありなしセメント質ありなしコラーゲン繊維の走行扇状で縦横に走行発生源:セメント質・骨表面インプラント体と平行に走行発生源:骨表面コラーゲン含有量少ない多い繊維芽細胞多い少ない血液供給量多い供給源:骨膜・歯根膜少ない供給源:骨膜歯肉の防御機構強い弱い表1 天然歯とインプラント周囲組織の比較(参考文献2の内容を基に作成)。abQDT Vol.39/2014 September page1401

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