QDT 2016年10月
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62今度こそわかる! 接着システムの仕組みと使いこなし62CR修復においてラバーダム防湿は本当に必要なのか?第4回*1石川歯科 静岡県浜松市東区天王町1743 *2医療法人宝樹会 福西歯科クリニック 大阪府大阪市北区梅田2-5-25 ハービスPLAZA5F*3医療法人皓隆会 南歯科医院 大阪府大阪市北区西天満2‐6‐8 堂島ビルヂング1F鷲野 崇*1監修:福西一浩*2/南 昌宏*3/石川知弘*1る(症例1、2)。 今回は、CR修復におけるラバーダム防湿の必要性について、文献データを基に検証してみたい。1.口腔内は多湿環境 口腔内の至る所に水分は存在している。特に唾液の99%以上は水分で構成されており1、呼吸にともなって気化した唾液由来の水分は、接着修復処置において接着阻害因子となり得る。では口腔内は一体どれくらいの高湿度環境にあるのだろうか? Plasmansら2は、温度計と湿度計を用いて口腔内の温度と相対湿度を測定している。それによると、適切な防湿処置を行っていない口腔内の温度は26~29℃、相対湿度は78~94%にまで達するとされているはじめに 口腔内には唾液が存在しており、唾液は呼気に混じって水蒸気として口腔内に舞う。そのため通常、口腔内は常に高湿度環境にある。 水の存在がレジンと歯質との接着を阻害することはよく知られていることであるが、この高湿度環境が、いかに臨床的にCR修復に対して悪影響を与えるのかは、あまり知られていないように思われる。 近年、偉大なる発展を遂げてきた接着歯学であるが、水分(湿度)の影響をまったく受けない接着システムというものは存在しない。150年以上も前から臨床に取り入れられているラバーダム防湿法は、「完璧」ではない接着システムを「できる限り理想的」に適用するために、極めて有用性の高い手技であると筆者は考えてい隔月連載接着システムの仕組みと使いこなし今度こそわかる!QDT Vol.41/2016 October page 1424

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