QDT 2017年11月号
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145第3回 印象(口腔内スキャニング)・模型① 1987年にチューリッヒ大学にてMörmann教授が、内側インレー窩洞へのレジン充填時の重合収縮を抑える目的で、CAD/CAMにてセラミックのインレーを製作するシステムを、当時のシーメンスメディカル社(現デンツプライシロナ)とともに開発したのが、まさに現在のCEREC(デンツプライシロナ、図2)のルーツである。この取り組みがあったからこそ、現在のデジタルデンティストリーがあると言っても過言ではない。本年3月にドイツで開催されたIDS 2017におい 日常臨床で行われている精密印象材を用いた印象採得は、十分な精度と安定感があり、長い歴史の中で完成されたシステムであると言える。しかし、印象材の破損や変形が起こることもあり、それによってその後製作される補綴装置の精度に大きな影響が及ぶことは周知されている。 この印象採得においても、デジタル技術が応用された口腔内スキャナーを用いて、支台歯を含めた口腔内ても、世界中の多くのメーカーから、口腔内スキャナーやCAD/CAM、3Dプリンターなどをはじめ、デジタルに関連した新製品が紹介されていた。歯科界には大きなデジタルソリューションの波が押し寄せてきている(図3)。今後のデジタル化への対応がますます多様化していく中、機材の選択は容易ではなく、今後、中長期的に方向性を定め、導入機材や時期を考えることが大切だと考えている。の状況をスキャニングし、最終補綴装置の製作が可能となってきている(表1)。そしてその技術は、インプラント症例にも活用の範囲を広げてきている。 しかし、現在のところ、口腔内スキャナーの普及は、まだスタートラインに立ったところである。広く普及するためのハードルとしては、導入費用や維持費用が高額であることが挙げられ、ユーザーにコスト以上の利用価値を提供できるかが鍵となるであろう(図4)。デジタルデンティストリーの歴史と今後デジタル印象の利点・欠点図2 各世代のCERECの製品。CERECは、口腔内スキャナーとしてはもっとも古く、30年の歴史をもつ。プロトタイプが登場したのは、1985年、当時、アマルガム充填からレジン充填に変わった後、重合収縮を抑えるために開発された(左よりCERECプロトタイプ「lemon」、初代CEREC、CEREC2、CEREC3、CEREC AC Bluecam、CEREC AC Omnicam)。図3 3ShapeのTRIOS3でスキャニングされた口腔内データ。表示がカラーになり、非常に見やすく、わかりやすくなった。歯牙のシェードの表示までもができるようになってきている。QDT Vol.42/2017 November page 1797

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