QDT 2018年3月号
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セラミッククラウンの色の調和 インターナルステインと画像合成試適をもちいた製作法(後) 目標歯のシェードテイクに関しては前編で解説した。まずは目標歯の色がシェードガイドと比較してどのような色なのかを分析し、次に使用する陶材を大まかに選択するわけだが、ここで最初に考える必要があるのが、象牙質構造(トランスルーセント陶材築盛直前の構造)の色とエナメル質構造に使用するトランスルーセント陶材である。当然のことだが、われわれが観察している目標歯は「セラミック製」ではない。つまり、クラウンではエナメル質とは質の異なるトランスルーセント陶材で最外層を覆って目標歯への調和を図るわけであるから、目標歯の象牙質の色を正確に把握することが目的ではない。目標歯の色を再現するためには、最外層に使用するトランスルーセント陶材を決定し、それを想像で差し引いて“セラミッククラウンとしての象牙質構造の色”を決定する必要がある。したがって、まずは象牙質構造にトランスルーセント陶材を築盛・焼成すると、築盛前と比較してどのような色の変化が起きるのかという要件を理解しておく必要がある。 一般にトランスルーセント陶材を築盛すると、築盛前(象牙質構造)から比較して明度が下がると言われているが、重要なことはどの程度下がるのかという点、つまり、象牙質構造の色とトランスルーセント陶材の色との組み合わせによる明度の減少の度合いである(図1)。トランスルーセント陶材築盛による象牙質構造の色の変化図1a、b 象牙質構造(bの左)にトランスルーセント陶材を築盛し完成したクラウン(bの右)。築盛前と比較して彩度と明度が下がっている。図1c、d a、bのサンプルを歯列で見た状態。トランスルーセント陶材は最外層に位置し外形を成すものであるから、その厚みの差による色の変化は歯冠形態と直結させて考える必要がある。acbd69QDT Vol.43/2018 March page 0401

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